パルプ
THINGSText: Mariko Takei
コミックが子供向けとされるアメリカで、初の大人向けマンガ月刊誌「PULP」がサンフランシスコのVIZメディアから11月下旬に発売される。気になる創刊号の収録作品のほうだが、日本のマンガ5作品で、武論尊と池上遼一の合作「ストレイン」、山本直樹の「あさってDANCE」、松本大洋の「鉄コン筋クリート」、吉田秋生の「バナナフィッシュ」、喜国雅彦の「傷だらけの天使たち」とかなり豪華だ。
PULPにはハイライトとなるマンガのほかにミュージック、フィルム、マンガ家のインタビューなど、日本のサブカルチャー的な話題を満載する4つのコラムも含まれていて、創刊号のコラムにはピチカートファイブ、ガロ、同人誌の話題などが盛り込まれるようだ。
アメリカではバットマンやスーパーマンなどコミックといえば子供を対象にしたものが多く、もちろんバイオレンスはタブーである。「コミック=キッズ」という図式を塗変えようという姿勢を打ち出しているPULPにより、マンガを抱えたサラリーマンが現われるのか?はたまた、オタク系、サブカル大好き系の若者の雑誌として定着してしまうのか?またアメリカでテレビのなかった1910年から50年代に広く読まれていた「American pulp magazine」がこうしてマンガ月刊誌「PULP」と生まれ変わって、日本のマンガの中でも今まであまり知られることのなかったものが、一般にどう受け入れられるのかも興味深い。
いずれにせよ、PULPが日本のあらゆる文化を紹介する新しいメディアとなることだろう。ちなみに128ページあるPULPは日本のマンガ週間誌などと同じサイズで、しかも使用している紙もワラ版紙らしい。が、値段のほうは$5.95と少々高め。PULPはオンラインでの購読ができ、海外からの注文も受け付けている。英語で読む「Black & White」(鉄コン筋クリート)や「Dance Till Tomorrow」(あさってDANCE)など、PULPの発売が楽しみだ。
Text: Mariko Takei