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アンノウン・アジア 2020

HAPPENINGText: Taketo Oguchi

今年も本誌編集長の筆者が審査委員の一人として参加したので、ここからSHIFT賞を授与した作家と、注目した作家達を紹介したいと思う。

RIOP「クイックランチ パート 2」2019年, 500 × 750 mm, ラムダプリントRIOP「クイックランチ パート 2」2019年, 750 × 500 mm, ラムダプリント
RIOP「クイックランチ パート 2」2019年, ラムダプリント

今回、SHIFT賞として選出したのは、インドネシアの写真家、RIOP。中国人のハーフである彼のルーツであるジャカルタのチャイナタウン「グロドック」で撮影された写真シリーズを展開。写真は日常の中の美しさに焦点を当てており、買い物袋を下げストリートを歩く被写体はスーパーモデルのようにも見える。一見ドキュメンタリーのように見えるが、ファッションのバックグランドを反映した、計算されよく編集されたファッションセンスの光る写真だ。

白川千佳「春」2020年, 910 × 727 mm, キャンバスにアクリル、マーカー白川千佳「夢」2020年, 727 × 530 mm, キャンバスにアクリル、マーカー
白川千佳「春」「夢」, 共に 2020年, キャンバスにアクリル、マーカー

去年、SHIFT賞を贈賞した福岡県在住の白川千佳。昨年のスタイルを踏襲しながら、今回は人物画に挑戦。ピカソ、マティス、ボッティチェリなどの西洋絵画を参照し、ポップに再構築した新作シリーズを披露。今年は3点のみの発表となったが、レビュワー賞を受賞するなど、今年も注目されたアーティストの一人だ。作品は、今までより、線や色、構図などが洗練された印象でこのシリーズの展開に注目したい。

ムネアツシ「さるかに合戦」2020年, 318 × 1,640 mm, ベニヤパネルにアクリル、インク
ムネアツシ「さるかに合戦」2020年, 318 × 1,640 mm(部分), ベニヤパネルにアクリル、インク

多くの審査員、レビュワーから注目を集めた大阪市在住のムネアツシ。日本の民話「さるかに合戦」をモチーフに鳥獣戯画のような絵巻ものに仕上げた。作品単体の紹介だけでなく、分解し、漫画のコマ割りようにストーリー仕立てに見せるなど、オンラインの特性を活かしたプレゼンテーションも印象的。ノイズの走るテクスチャに見られるストリート感と大胆な余白を設けた日本古来の美術の融合が絶妙で素晴らしい。アクリル絵具で描かれているが、日本画として屏風絵などに展開されると、より現代美術のコンテクストとして強くなると感じた。

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