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サヨ

PEOPLEText: Noriyuki Abe

フランスでの大規模個展について教えてください。





今年の夏、「PHASES」(フェーズ)という個展をローラ・モースキンのキュレーションのもと、マルセイユの「FracPaca」(フラック・パカ)にて開催しました。グラフィティとは形式的に表現された現実であり、表現の自由を世界に示すための行為でもあります。表現の限界を無くすため、グラフィティの規則を破っていけば、新たな制作へのアプローチの可能性を垣間見ることができます。私はグラフィティを都市生活の現実の中で創り出していますので、グラフィティを時とともに変容していく絵画と解釈しています。

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© SAEIO

私は表現するためにグラフィティ技術、自分の体、あるがままの現場の状況を使いますが、他にもダンサーの動き、散歩するときの気持ち、民俗学、ファッションなど様々の事柄を引用します。その過程には不可抗力的に不法ともいえる部分を含むことがありますが、そのことがその絵に関連するいろいろな現象や相互作用を生むきっかけにもなることもあります。公共の場で表現がおこなわれることにより、多くの人々が触媒として参加することができます。

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© SAEIO

この個展では、進化するということとともに、グラフィティが本来の姿のままに表現できなくなっていった経緯についても言及しています。この展示に関する記録を写真、映像、音声でおこないました。私の制作の軌跡がしっかりと捉えられています。元データ~変換~編集~編集~再構築の作業を経て正式に公開されたこの都市の様相はその新しい段階を提示しています。

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昨年、カームアンドパンクギャラリーで開催した東京での個展「オートバイでの蝶」について教えてください。




グラフィティを比喩的に表現しようとしましたがそれは蝶、時に象になり、もはやグラフィティではなくなりました。蝶はハエのように短命ですが沢山の変化を繰り返します。あちらこちらへ飛び回り、あたかもグラフィティのように、居場所を探します。

それから、東京には「暗黙の了解」といものがあることを発見しました。銀色のビニールシートを使った自転車カバーという防犯方法です。このカバーで自転車がすっかり消えたことにできるのです。それは失敗作を隠そうとする作家の姿にも、グラフィティをペンキで塗りつぶす装置のようにも見えます。この展示物の形状は秘密を帯び、立体的な予兆となっていきました。

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