宮島達男「芸術論」

THINGSText: Ayumi Yakura

“すべての人がアートと共に生きる世界をめざす”

1988年ヴェネツィア・ビエンナーレで新人部門に招待され、デジタル数字を用いた作品が国際的に注目を集めて以来、世界30カ国250カ所以上で作品を発表している現代美術家・宮島達男の著書「芸術論」が、アート専門出版社「アートダイバー」から2017年3月に刊行された。

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カバー:“Count Down in the head”, 1995, Ink and pencil on paper, 793 x 615 mm

本書は三つの章で構成され、宮島の思想や作品コンセプトの解説のみならず、ツイッターへの投稿や新聞等への寄稿文から厳選された近年の「言葉」をまとめて読む事ができる。更に書籍初公開となるドローイングも多数収録されている。

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Idea Drawing for “Counter Neon”, approx 1995-1998, Pencil, ink and collage on paper, 210 x 295 mm

第1章「哲学の深淵を語る」は、編集者・東晋平によるインタビューを元に書き下ろされ、宮島が30歳の頃(1987年)に設定して以来、60歳を迎える現在もなお作品に通底する三つのコンセプト『それは、変化し続ける/それは、あらゆるものと関係を結ぶ/それは、永遠に続く』の解説や、その深層にありながらも、これまで発表されてこなかったフランス思想や仏教思想のルーツまで、アーティストとしての核となる部分が記述されている。

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Idea Drawing for “Time Waterfall”, 2016, Pencil and collage on paper, 545 x 790 mm

六本木ヒルズに設置されているパブリック・アート「カウンターボイド」等、宮島の作品は、変化を繰り返すデジタルカウンターの数字から鑑賞者に「時間」を連想させる。本章では、「諸行無常」や「輪廻転生」といった東洋の思想に基づいた三つのコンセプトを、国際的な視点で『いかに西洋人へ伝えていくか』を考え抜いた当時の思考が、近現代の美術史を振り返りながら分かりやすく紐解かれている。

活動初期に、アートを通して伝えたい事を明確に言語化した三つのコンセプトが、その後の創作を支え続けると共に、作品発表にとどまらない新たな行動を促したのだ。宮島が近年行ってきた教育活動や、芸術と平和を繋ぐ活動については、続く第2章、第3章に詳しい。

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