吉岡徳仁

PEOPLEText: Ayumi Yakura

プリズムから放たれる虹の光線。吉岡徳仁は、自然と人間の関係性に着目し、光がもたらす感覚を追求し研究を重ね、デザイン、アート、建築など幅広い領域において革新的な作品を生み出している。

これまでに国際的なデザイン賞を多数受賞している他、ガラスのプロジェクトなどの代表作は世界的に評価され、ニューヨーク近代美術館(MoMA)、ポンピドゥー・センターなど世界の主要美術館で永久所蔵品に選ばれている。資生堂ギャラリーにて現在展示中の最新作、そして近年のクリエーションについてお話を伺った。

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© Tokujin Yoshioka

今回の展覧会の新作インスタレーション「スペクトル」は、どのような思いから生み出されたのでしょうか。作品のプロセスを教えていただけますか。

光。人はなぜこんなにも光に魅せられるのか。太陽の光、月の光、そして水面の輝き。自然の光は、決して解明することのできない神秘的なエネルギーがあるように思います。そして、全ての生き物が感じることのできる光は、白く透明でありながらも、無限の色が存在します。

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「スペクトル」© Tokujin Yoshioka, 2016年, プリズムから放たれる虹の光線による神秘的な光を体感するインスタレーション, 資生堂ギャラリー

本展で発表する新作「スペクトル」は、プリズムから放たれる虹の光線による神秘的な光を体感するインスタレーションです。200個のクリスタルガラスから生み出されたこの彫刻は、4000にもおよぶ虹の光線を放ち、光そのものがもつ非物質的なエネルギーや、光と人間の関係性、そして時代を超える自然の光の美しさが作品となります。インスタレーションを通じて、私たち人間の感覚に発見をもたらし、そのプリズムより分光された光は、神秘的な虹のスペクトルを放ちます。

自然の光には、白く透明でありながらも無限の色が重なることで生み出される神秘的な感覚を感じることができます。太陽の光は特殊で、実験と検証のプロセスを何度も行いました。そして、そのプロセスの中で完成した光の姿が予測できないところと、自然のもつ偶然性の美しさを独自の手法で作品を表現しました。

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「ガラスの茶室 ‒ 光庵」© Tokujin Yoshioka, 2011〜2015年, ガラスによる建築プロジェクト, 天台宗青蓮院門跡境内将軍塚青龍殿

これまでの作品、2013年に東京都現代美術館にて開催された個展で展示なさった「虹の教会 ‒ Rainbow Church」や京都の重要文化財に指定される天台宗青蓮院門跡境内将軍塚青龍殿に設置されている「ガラスの茶室 ‒ 光庵」では、透明な素材を用いて作品を制作されていますが、それはなぜでしょうか。そしてその光の魅力はどこにあると思いますか。

透明は光にとても近い色であると思うので、素材として使用しています。そしてその色は、太陽の光により輝きを放ちます。自然の光を超える美しいものはないといつも感じてきました。光という存在は、形こそ存在しませんが、周りの空気を変えてしまうような不思議なオーラを作り出し、私たちの感情の奥底に響き渡ると思います。

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「Snowflake」© Tokujin Yoshioka, 2010年, 透明プラスティックのプリズムスティックによるインスタレーション, Kartell Gallery, イタリア

吉岡さんの作品には直接的な日本の要素はないものの、どこか日本的なものを感じますが、それは意識されていますか?

日本人の自然観には、自然の中に生命や神秘をみる感覚があり、それはオーラのようなエネルギーを感じることから始まります。このような本質的な自然美の認識と独自の解釈は、日本古来から受け継がれるものだと考えられます。私は作品を通して、自然と共に生み出される時間を知覚化することで、人間が物質的なものから解放されて、自然と一体化することで、感覚の中に存在する日本文化の本質を見ることを考え、独自の手法でその形をこえる作品を生み出してきました。様式を見せることで本質が失われると思います。

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