ニュー・オーダー ツアー 2015-2016

HAPPENINGText: Victor Moreno

バーナード・サムナーは、ベンチでプレイヤーを巧みに入れ替えるアレックス・ファーガソン監督を我々に思い起こさせる。1998年に再結成したニュー・オーダー。活動を休止していた2008年から2012年の間に、元メンバーのジリアン・ギルバートが再加入し、ピーター・フックはバンドを去った。その後、ギターにフィリップ・カニンガム、空席だったベースにはトム・チャップマンを迎え入れ、現在の編成となった。我々は、ストックホルムのAnnexetホールで行われた、彼らの最新ツアーに立ち会う機会を得た。ロンドンのBBCメイダヴェールスタジオで幕を開けてから、わずか4回目に当たるツアーの前半戦だ。

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メンバーが変わっているにもかかわらず、ニュー・オーダーの音楽はその本質を失ってはいなかった。それは、マンチェスターから出発した彼らの音楽的ルーツに基づいている。「ゲット・レディ」(2001)以来、ニュー・オーダーの活動は比較的盛んだ。なかでも、2012年の大規模ワールドツアーは記憶に新しい。そして今年、彼らはミュート・レコードより10作品目となるスタジオ・フルアルバム「ミュージック・コンプリート」(2015)をリリースした。

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これは、ピーター・フックのいないニュー・オーダー初のアルバムである。しかし何よりも、ミュートからのリリースそのものが、バンドが舵を取る方向性を我々に教えてくれている。つまり、以前と同じ類のポップソングを作っていても、このアルバムは以前のものよりも電子音楽的でダンス向きなのだ。ミュートとの契約に加え、彼らの古くからの友人であり、協力者であったピーター・サヴィルの復帰はもうひとつの良い知らせだ。ニューアルバムのスリーブのみならず、今回の2015-2016ツアーで使われている舞台美術動画も彼によるものである。ピーター・サヴィルの参入は、ニュー・オーダーの新たな試みに信頼感を持たせている。上品でカラフルなデザインがステージ上で生きるのは、複数のスクリーンを移動する動画の断片と合わせてこそだ。それは一つのまとまった作品であり、バンドの特徴なのだ。

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「ミュージック・コンプリート」も偉大な創作物である。これほど長い歴史を持つアーティストの新作と聞いて、金儲けを目論んだ、つまらないアルバムを想起する人がいるかもしれない。しかし、彼らのアルバムはそういったステレオタイプ的なものとは無縁なのだ。そしてフックはというと、「ピーター・フック・アンド・ライト」(ある種ひどいカバーバンドであることがのちに判明するわけだが)という名のバンドを新たに立ち上げ、ニュー・オーダーとジョイ・ディヴィジョンのバックカタログを演奏している。「やつは楽しんでいるみたいだね」と、サムナーはイギリス人記者に話したそうだ。

感傷的損失で語られる35年のキャリア(まさしく、ハシエンダは赤字だった)は多くの山や谷に見舞われたが、バンドはそのたびに力を取り戻してきた。それゆえか、渾身のニューアルバムは自信にみなぎっているし、その音は新鮮だ。少し折衷的とも言えるだろう。そして、これはニュー・オーダーのアルバムの中でも間違いなく21世紀最強の作品である。「ミュージック・コンプリート」では、かつてのジョイ・ディヴィジョンのドラマー、スティーヴン・モリスがプログラミングを担当し、ケミカル・ブラザーズのトム・ローランズ、グラミー賞受賞者スチュアート・プライスが制作に携わった曲もいくつか収録されている。

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