三沢厚彦「ANIMALS(アニマルズ)」展 2014

HAPPENINGText: Namie Kuwata

この夏、高松市美術館では今、最も注目されている彫刻家の一人、三沢厚彦の展覧会が開催された。三沢は2000年より等身大の動物をモチーフとした木彫作品「ANIMALS(アニマルズ)」シリーズの制作を始め、2007年より全国の美術館で順次、個展を開催している。

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「Animal2010-03」 撮影:加藤健

作品は樟(くす)を素材とし、丁寧に入れられた鑿(のみ)の痕が毛並みを作り、油彩や色鉛筆で色付けられている。三沢独特のフォルムの動物たちは、ユーモラスな印象ながらも爪や牙は鋭く、素朴で優しい雰囲気の中にも生き抜く為の厳しさをふと思い起こさせる。デフォルメされた動物たちは、自分の中の漠然とした動物のイメージを越えた存在として、リアリティを持ってそこにいる。

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「Animal2011-07」 撮影:内田芳孝(ノマデイック工房)

木彫にも関わらず、触るとそれは毛に覆われた皮膚で、その下には筋肉がありそうな体温を感じるのだ。どっしりとした樟の重力のバランスからは、緊張感と重厚感をベースとした力強さや逞しさが伝わって来る。多くの作品は背筋をピンと伸ばし、凛と前を見据えて立っている印象で、ほのかな樟の香りと相まって「ANIMALS」の放つ圧倒的な存在感は神々しくさえある。木彫の立体作品の他にもドローイングやワークショップで制作された作品なども合わせて展示。

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「Animal2010-01」 撮影:内田芳孝(ノマデイック工房)

高松の会場では、豊嶋秀樹が展示空間を構成。三沢作品を色々な角度から更に魅力的に見せている。ユーモラスで愛らしいだけでは終わらない三沢作品との出会いの場を届けてくれている。「三沢厚彦 ANIMALS」展は引き続き全国を巡回中。

三沢厚彦 ANIMALS 2014 in 高松展
会期:2014年7月11日(金)~8月24日(日)
時間:9:30~19:00(日曜は17:00まで)
休館日:月曜日
会場:高松市美術館
住所:香川県高松市紺屋町10-4
TEL:087-823-1711
https://www.city.takamatsu.kagawa.jp

Text: Namie Kuwata

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