ルーチョ・フォンタナ回顧展

HAPPENINGText: Valerie Douniaux

フランスで1987年以来の開催となるルーチョ・フォンタナ回顧展が、パリ市立近代美術館で始まった。本展は、かなり初期の作品から年代順に展示されており、イタリア人芸術家のキャリアに斬新なアプローチを提供し、滅多に見られない幅広い作品のセレクションとなっている。

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Lucio Fontana et ses « lunettes spatiales », 1965. Photographie Lothar Wolleh © Dr. Oliver Wolleh © Fondazione Lucio Fontana, Milano / by SIAE / Adagp, Paris 2014.

イタリア人の熟練された彫刻家の息子として、1899年にアルゼンチンで生まれたルーチョ・フォンタナ(1968年没)。人生の大部分をミラノで過ごしたフォンタナは、建築を学びながら彫刻(赤土焼、陶磁器、モザイク)の全ての可能性を探っていた。

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Retrato di Teresita (Portrait de Teresita), 1940, collection Fondazione Lucio Fontana, Milan © Fondazione Lucio Fontana, Milano / by SIAE / Adagp, Paris 2014.

1930年代に最初のイタリア人抽象派の芸術家になった頃、第二次大戦中アルゼンチンに避難。戦争後ミラノに戻り、彼の重要な思想の元になるマニフェスト「空間主義」(スパツィアリスモ)を発表し、「空間主義運動」の主要な人物となった。(フォンタナを魅了した)「宇宙時代」(スペース・エイジ)にも繋がる空間主義は、新しい芸術を創るために、基本的な要素として光や「現実」の空間(仮想空間に対して)が用いられ、周囲の世界にも確実に影響を与えていた。

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Concetto spaziale (Concept spatial), 1952 GAM- Galleria Civica d’arte moderna e contemporanea di Torino © Fondazione Lucio Fontana, Milano / by SIAE / Adagp, Paris 2014.

1949年にフォンタナはキャンバスに穴を開けた、最初の「空間概念」(コンセッティ・スパツィアーリ)シリーズを制作し、約10年後に制作を始めたキャンバスに切り込みを入れた「裂け目」(タギリ)シリーズで彼は世界的な名声を得ることになる。

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Concetto spaziale, Attese (Concept spatial, Attentes), 1959, © Musée d’Art Moderne / Roger-Viollet © Fondazione Lucio Fontana, Milano / by SIAE / Adagp, Paris 2014.

例え、この作品シリーズが多くの芸術家に影響を与え、フォンタナのキャリアとしても最も有名なものであるとしても、回顧展を代表とするものではない。これらの素晴らしい作品は、一見暴力的な振る舞いを見せたにもかかわらず平和的であり、年表では展覧会の後半にのみに現れる。

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Concetto spaziale (Concept spatial), 1961, Collection particulière, courtesy Sperone Gallery, New York. © Fondazione Lucio Fontana, Milano / by SIAE / Adagp, Paris 2014.

展覧会を通じて、来場者の目や心は十分に感動に満たされ、信じられないほど素晴らしい発見が得られた後にこれら作品がついに現れる。そのことから、「裂け目」の影響はそれほど大きなものではないのだが、長年にわたって強く魅力し続けており、フォンタナは20世紀の主要な芸術家の一人として間違いなく際立っている。

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Concetto spaziale (Concept spatial), 1962, Courtesy Tornabuoni Art, Paris © Fondazione Lucio Fontana, Milano / by SIAE / Adagp, Paris 2014.

回顧展の真の成功は、フォンタナの探求の新しい全体的なビジョンを提案したことにあり、今回初めて展示された多くの作品の中には、二次元のアーティスとしてのみならず、彫刻家や陶芸家として彼の才能を再評価する可能性が秘められていることにある。

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Scultura astratt (Sculpture abstraite), 1934, collection Fondazione Lucio Fontana, Milan © Fondazione Lucio Fontana, Milano / by SIAE / Adagp, Paris 2014.

陶器の作品は展覧会の前半の大部分を占めている。小さなものから大きなものまで、これらの陶器作品はカラフルでバロック様式で、フォンタナの心の湧き出す創造性、美術史と技術に関する彼の大きな知識、そして、生涯をかけて制作したキリスト教と葬儀彫刻芸術の影響が現れている。また、愉快な記録映像や写真は、作家のユーモアのセンスと、彼自身が作り上げたダンディ風のスタイルも思い起こさせる。

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Concetto spaziale, Attese, (Concept spatial, Attentes), 1966 © Fondazione Lucio Fontana, Milano / by SIAE / Adagp, Paris 2014.

抽象性と象徴化、物質的と形而上学的、それぞれの間の境界を壊すことで、ユートピアから現実へ、SFからルネサンス芸術へ、キッチュから洗練されたシンプルな表現へと、フォンタナは自身のキャリアを導いてきた。彼はこのとても難解なコンセプトを20世紀の疑問を完全に把握した豊かな作品へと調和的に融合することで成功を収めた。そして当時と同じように現在も力強さを保ち続けている。

ルーチョ・フォンタナ回顧展
会期:2014年4月25日〜8月24日
時間:10:00〜18:00(木曜日22:00まで)
閉館:月・祝日
会場:パリ市立近代美術館
住所:11 avenue du Président Wilson, 75116 Paris
TEL:+46 (0)1 5367 4000
http://www.mam.paris.fr

Text: Valerie Douniaux
Translation: Moeko Noguchi

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