ティモ・ライト

PEOPLEText: Mike Sullivan

フィンランドのメディアアーティストたちの会話に必ずと言っていい程登場するティモ・ライト。ここ10年間マルチな才能を生かし映画監督、写真、展覧会のキュレーションなどを行い、この国のアートシーンに影響を与えてきた。彼は定期的にフィンランドとその他のヨーロッパで展覧会を行い、映画作品ではドキュメンタリーや実験的なショートムービーを手掛けている。彼の作品はメディアの枠を超越し、デジタル時代の最前線の才能を反映している。最近のプロジェクトではスカイプのオンラインの会話のデータの変化に焦点を当てたり、自身の持ち物を撮影しそれらに対して、「どのように消費を通して自分自身を構築するか?持ち物は私にとって何を意味するのか。」という疑問について考察するセルフポートレイトというプロジェクトを行った。「ロング・ジャーニー・ホーム」という作品では、様々な難民に行ったインタビューのそれがどこで行われたものなのかというヒントになるような場所、時間などの要素をカットし、有名な俳優に朗読させ、8つのラジオからこれを流し観覧者が自由に聞くことができるインスタレーションとして展示した。

Timo Wright

自身について、仕事について教えて下さい。

ティモ・ライトです。フィンランド出身のメディアアーティスト、ドキュメンタリー映画監督です。

最近どんなプロジェクトに取り組んでいますか?

「ア・フィースト・ウィズ・キング・ミダース(ダース王との饗宴)」という少し難しく、大規模プロジェクトをちょうど終えたばかりです。それは一人の男性が多くの料理が並んだテーブルに座り、料理がゆっくりと腐っていく様子を撮影した映像作品でした。プロジェクトではコマ撮りのカメラを使って撮影し、2ヶ月程を費やす大変な作業でした。最近の次の仕事は商業的なものです。

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触ったもの全てを黄金に変える能力を持つミダース王がテーブルに座りながらも決して何も触らず、食べ物が腐敗していく「ア・フィースト・ウィズ・キング・ミダース(ミダース王との饗宴)」というプロジェクトはとても興味深いですね。このプロジェクトにはいくつかのメッセージが込められているように感じますが?

このプロジェクトはミダース王の物語に基づいています。ここでのミダース王は私たち西洋人を意味しています。私たちはすでに全てを手に入れていますが、常にもっと何かを欲しがっています。すでに持っているもので満足することがないのです。我々の富と豊かさは「私に私に!はやくはやく!」とせっかちにさせますが、金を食べることはできないのです。映像の中の男性はすでに全てを持っていますが、まだ何かほかの物を待っている、そのせいでその全てを失ってしまいます。彼はすでに持っている豊かさを楽しむことができないのです。

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「セルフ・ポートレイト」というプロジェクトでは、あなたが持っている様々な物を撮影したものを通して、あなた自身を表現していますね。所有しているものの多さに驚いたということはありましたか?消費についてのプロジェクトだと思いますが、人々が彼ら自身がどうであるかということ以上に何を持っているかということに執着していると感じることはありますか?

典型的なフィンランドの家族は少なくとも10,000個もの物を所有していて、学生でいえば約5000個。私自身の結果は予想より少ないくらいでしたが、持ち物としてはまだまだ多いくらいです。 私たちは、何を持っているか、何を買う余裕があるか、を通して自分自身を表現することがあります。スタイルやファッションも私たちについて周りに発信できるものです。ただ、それらが本当は何を発信するのでしょうか。私たちの夢、希望、恐怖、大好きなものでしょうか?何も表してはいません。私にとってあなたは誰なのか、洋服や小物は何も伝えてはくれないでしょう。

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映像の撮影や映画制作のインスピレーションはどういったものから得るのですか?

私の作品は政治的なものがほとんどなので、様々な問題をアートという手法を用いることが重要だと考えています。現在は不謹慎で、非現実的なものに興味がありますが、とにかく「成長し続けること」に執着しています。

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フィンランドにおけるメディアについてどう思いますか?

フィンランドには本当に面白い作品が多くあります。特にドキュメンタリー映画はトップクラスです。しかし、アートの世界にはもっと面白いものを期待してしまします。アートとは、自分の考えを表現する特別な機会だと思うので、それを最大限に利用するべきだと思っています。

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ここ数年間で多くの映画作品を制作してきたと思いますが、これらの経験から得たのはどういったことですか?

映画制作が最も素晴らしいということです。ハードワークで、長時間の労働で、あまり魅力的ではなく、出費もかさみますが、採取的には私たちのアイディアが生き生きと動き出し、まるで魔法のようです。

あなたの作品は多くの議論を生み出しています。時にメディアを当たり障りのない範囲の外に持ち出すきっかけにもなっていると思いますが、フィンランドでどのように受け止められていると思いますか?

人々がどのように受け取っているかはわかりません。私にとって公共の存在であるアートは常に政治的です。本人が意図していなくてもどんな公共の行動も政治的であるように思います。アートはどんなものとも違う、株主でも有権者でもどんな人にも責任がないプラットフォームです。

Text: Mike Sullivan
Translation: Satsuki Miyanishi
Photos: © Timo Wright

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