スペース・イズ・ザ・プレイス

HAPPENINGText: Mike Sullivan

サイエンス・フィクションとアートの衝突!

コペンハーゲンにあるデン・フリー・センター・オブ・コンテンポラリー・アートは芸術家たちによって設立された芸術家のための会場であり、1891年に創設されたのち1913年に現在の場所へと移転した。この建物は1986年に歴史的な重要記念物に指定され、現在は来訪者の利便を考えたカフェや庭園のような展示場へとリノベーションを進めているところだ。コンテンポラリーアートに関するコミュニティーや集合的な展覧会、アーティストの協会、実験的に組まれる集団及び繋がりに焦点を当てる。今夏の展覧会はサイエンス・フィクションと視覚的なアート展との結びつきを主眼とした、14人のデンマーク人とその他各国のアーティストたちによる作品から成るものだった。サイエンス・フィクションに関して作品を寄せた或いは興味を示したこの作家陣は、彼らの多くがその文学もしくは映画といった遺産について語り、現存するサイエンス・フィクション作品とその制作を注視している。それらはこのジャンルにおいてノスタルジックな言説であるとともに賢明な批評でもあるのだ。

Space is the Place
“The Fear of Earthborn Men”, Jakob Rød

この展覧会は6つの部屋で構成され、ルーム1ではジェイコブ・ロッドとソレン・ブレッガーによる作品を見ることができる。ロッドの作品は「ザ・フィアー・オブ・アースボーン・マン」という表題の元に人々の畏怖と神の力を示している。ギリシャ神話には荘厳な空が描かれているにも関わらず、その当時空は半球でありこの円蓋が地球にかかっていると信じられていた。ブレッガーの作品はこれとは対照的に未来における着想を採り、サイエンス・フィクション映画からの抜粋を用いて、例えばオゾン層の破壊が引き起こす紫外線による汚染を知らせている。

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Becky Bolton & Louise Chappell

クリストファー・ウロムとアンドレアス・ボイエンによるインスタレーションである「アンノウン・コンテンツ2」。次から次へと惑星を映し出すこの魅惑的なアート作品はまだ見ぬ広大な銀河の端々を想わせる。このインスタレーションの持つ興味深い副作用を教えよう。科学者たちはしばしば我々に惑星の発見や広がる宇宙について説くが、それには実際の映像が伴っておらず概念化するのが難しい。ところが、この3Dインスタレーションの銀河には明確な形と色彩が与えられており、そうすると惑星たちは突然我々にとって現実となり迫ってくるのだ。また同じ室内でベッキー・ボルトンとルイーズ・チャペルによるインスタレーションも目にすることができる。彼らは宇宙を視覚化するために挑戦し続けたプロジェクションの結果として詳細な映像を見せるが、同時にプロジェクション自体に固有の複雑さをも浮き彫りにしている。まるで建造物のようにピラミッド型に投影されたプロジェクションは見る者をうっとりさせるインスタレーションに仕上がった。

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“To the collection”, Søren Hüttel

次の部屋は有名で人気のあるサイエンス・フィクション映画「スター・トレック」に登場する衣装や小道具を揃えたコレクションとなっている。ソレン・ヒュッテルによる「ティル・サムリン(For the collection)」はまるで古代文明における人工物のような印象を与えるコレクションだ。マネキンの着ている衣類は一つの文化に根付く伝統衣装のようであり、その他の小道具はそれらの紹介文とともにガラスケースに展示されている。これらのアイテムは「スター・トレック」ファンやサイエンス・フィクションにまつわる記念品の収集家にとってはとても魅力的であり、しかし同時に単なるTVファンには無価値同然なのだ。この部屋のもう一つの展示はアラン・キュラルによる「ジェットサム」という作品で、これは彼自身をイングランドの浜へ打ち寄せられたエイリアンとして描いた絵画作品である。

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“Wired (Tesla)”, Ivan Andersen

ルーム4はジェスパー・ダルガードトリン・ボーセンによるアート。ジェスパー・ダルガードの作品は未来の宇宙の概観を示したもので、あたかも有害かのように認められたものに対する新たな知覚を鑑賞者に与えようとするものだ。ボーセンにのインスタレーションは上下左右に360°展開された宇宙のイメージで、我々が慣れ親しんだ印象とそれに対照をなす印象を同時に掻き立てる。

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“Mass Attraction”, Ivan Andersen

ジェスパー・カールセンの作品が見られるのはルーム5だ。アンデルセンはニコラ・テスラとハワード・フィリップス・ラヴクラフトに影響を受けた。彼らはマッドサイエンティスト的な気質と陰鬱な哲学への信仰から権力を得たため、ほとんど神話のようになっている。「テスラ」と呼ばれる作品は「マトリックス」を連想させぬばかりで、その不思議な世界観に対比する謎めいた仮想のキャラクターにふさわしい。もう一つの作品は「スター・ウォーズ」に関連した、相反する2つの次元に面を持つ湾曲した立体空間である「マス・アトラクション」だ。見た目が非常に面白く、「スター・ウォーズ」とこの空間そしてアートの繋がりを考えるのもまた楽しい。カールセンによるインスタレーションは、がらんとした火星の風景とロシア映画「アエリータ」に登場するクイーン・オブ・マーズを平面に投影したものだ。この映画は1924年に制作された火星に行って反逆を指揮する男の物語であり、つまりカールセンは人類がいかなる発想と洞察力でもってがらんどうの火星を彩るかを示しているのだ。これは極めて挑発的なアイデアで、様々な惑星やその他の宇宙にまつわる事象を表現した多くのインスタレーションが揃ったこの展覧会にぴったりと言えるだろう。

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“Strange Attractor At The End Of Time”, Jonas Pihl

最後の部屋はルイス・シュパラーによる吊り下げられた彫像と壁に据え付けられた物体が目を引く。それらは宇宙の影を形作り星屑の層に覆われている。美しさの中にも未知の不気味さがあり、脅かすような気配さえ感じられる。最後のアーティストであるジョナス・ピールはインスタレーションを制作しており、見る者を当惑させるほどに巨大なペインティング作品「ストレンジ・アトラクター」(アット・ジ・エンド・オブ・タイム)には認識できるイメージとそうでないものが混在している。夢と科学が混じり合い印象的で表情豊かな形と色を描き上げた姿はまさに混沌そのものだ。

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“Unknown Continents II”, Kristoffer Ørum & Anders Bojen

この展覧会は非常に優れたアプローチであり、インスタレーションはただテーマに沿っているという以上に質の高いものが揃っている。「スター・トレック」の小道具が文化的な人工物として扱われていたり、たくさんの惑星が宇宙の様相とともに描き出されていたりするのを見るのは素晴らしい体験だ。サイエンス・フィクションというジャンルに属する各テーマをアートと密接に結びつけて考えることのできる展覧会がデン・フリーの夏を飾った。

Space is the Place
Date: June 29th – August 4th, 2013
Opening hours: 12:00 – 17:00 (Thursday till 21:00, Saturday, Sunday from 10:00)
Closed on Monday
Place: Den Frie
Address: Oslo Plads 1, DK-2100 Copenhagen
Tel: +45 33 12 28 03
info@denfrie.dk
http://en.denfrie.dk

Text: Mike Sullivan
Translation: Ayami Ueda
Photos: © Den Frie

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