南アフリカ漫画展「撃たないで!武器は持ってません!」

HAPPENINGText: Filip De Haes

「Don’t shoot! We are not armed!」(撃たないで!武器は持ってません!)という一見風変わりなタイトルの展覧会が、ブリュッセルのリサイクラートセンターにて開催中だ。ここの一番小さなスペースで行われている本展は、南アフリカで発行された漫画、および漫画家による作品で構成されている。

Don't shoot! We are not armed!
Works by Sebastian Borckenhagen

リサイクラートは市が運営する非営利組織であり、1997年の設立当時から広い意味での「芸術」をサポートする同時に、ブリュッセルのシャペル周辺を再生させる役割を担ってきた。
展覧会はセバスチャン・ボルケンハーゲンの作品から始まる。人間の動きが非常に細やかに、画面の隅々まで描かれているモノクロの作品だ。

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Works by Joe Daly

続いてトランタール兄弟の作品。過酷な南アフリカ社会の側面を、日本の漫画のスタイルを用いて明快にまとめ上げている。彼らの作品の隣には、ジョー・デイリーによる美しく政治など存在しない夢の世界が描かれた挿絵が対照的に展示されている。

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Works by Anton Kannemeyers

アントン&マーク・カンネメイヤーの作品「ビターコミックス」は、アパルトヘイト(人種隔離政策)は依然として物陰に潜んでいるという南アフリカの現実を強く突きつける。例えば、白人男性が黒人男性の男根に抱く恐怖心。その裏側には人種差別と性差別があること等が、カラフルかつ率直な表現で描かれている。

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Works by Karlien De Villiers

カーレン・デ・ヴィリアーズの水彩画は、女性達の視点から見える南アフリカが集中的に描かれており、この小さいながらも興味深い展覧会に、また一つ新たな表現を加えている。本展覧会への訪問時、キュレーターであるグレゴール・シュトラウベも在廊しており、興味を持つ鑑賞者に分かりやすい解説を加えていた。

Don’t shoot! We are not armed!
会期:2013年4月5日~5月11日
時間:12:00~17:00
会場:Recyclart
住所:Gare Bruxelles-Chapelle, 25, Rue des Ursulines, 1000 Bruxelles
入場無料
TEL:+32 2 502 5734
http://www.recyclart.be

Text: Filip De Haes
Translation: Eri Yamauchi
Photos: Filip De Haes

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