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日中現代芸術交流展「個園」

HAPPENINGText: Hiromi Nomoto

展示オープニングの翌日、アーティストトークが行われた。日中の参加アーティストや哲学者がそれぞれの考えを発表した。中国と日本のコンテンポラリーアートについて、その将来について、更に社会の問題点などを話し合った。日本人アーティストからは、今回の展示の動機となった中日両国で避けられない問題 “戦争” についての話が持ち上がった。それに対し中国人アーティストたちは、中国の長い歴史を振り返ったとき、侵略されてきただけでなく侵略してきた歴史について発言した。

koen10.jpg「スクラップブック」端聡, 2006-2011. 鉄, 写真, 紙, 樹脂

話はどこまでも続き、植民地化の問題にまで及んだ。現在日本国内でも植民地化が起こっているという問題、中国のアフリカ支援についてのことや中国国内で植民地化が起こっている可能性についてもふれた。従来の意味の植民以外に、文化の植民についてもあげられた。文化の植民は、一人一人ではどうすることもできない。なぜなら私たちが自分の文化だと思っているものが、実はかなり以前に外国からの影響を受けていたことがあるからだ。しかし文化の植民には悪い面だけでなく、良い面がある。厳しい発言もあったが、アーティストトーク中、始終中国側のアーティストたちが、日本のアーティストを歓迎していることが感じられた。

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「地点上の時間」高世強, 2009. 映像, 49分31秒

両国の間には、戦争が引き起こした様々な傷は今も深く存在する。とても難しく解決など不可能のように感じられる。しかし2008年の四川大震災で被害者の救援に向かった日本の救助隊に中国の方々は驚きを示し、2011年の東日本大震災では中国からの励ましの言葉に日本人が勇気づけられ感動したことを忘れないだろう。問題が存在してはいるが、相手の痛みを自分の痛みと感じ始めた私たちには、もはや国と国の交流ではなく、国を越えた個人と個人の繋がりが多く生まれると信じている。

日中現代芸術交流展「個園」
会期:2012年4月21日(土)〜5月21日(月)
会場:人可芸術中心(中山北路1号)
住所:中国杭州市慶春路172号
TEL:+86 571 8703 7146
キュレーター: 梁慶+鳥本健太
アートディレクター:何勇苗
協力:Office339, Aoimizu Institute, ZEIT-FOTO SALON
後援:在上海日本国総領事館
https://www.renkeart.com

Text: Hiromi Nomoto

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