アート京都 2012

HAPPENINGText: Satsuki Miyanishi

東京のギャラリー戸村のブースでは、3名のアーティストの作品が展示されていたが、中でも際立っていたのが冨田伊織の「新世界 “透明標本”」だ。カラフルに染められた生物の標本がホルマリン漬けのように並べられる。

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GALLERY TOMURA / 国立京都国際会館 Photo: 表恒匡 © ART KYOTO 2012 実行委員会

生物化学系の研究者が実際に行う標本制作手法で、硬骨を赤紫色に、軟骨を青色に染め、肉を透明にする薬品を使用し、長い時間をかけることでこのような標本が完成するのだという。漁師の仕事の見習いの傍ら透明標本作りをしていたという彼の作品からは、自然が作り出した生物の美しさと同時に命の大切さまで伝わってくるようだ。

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EMON PHOTO GALLERY / 国立京都国際会館 Photo: 笹倉洋平 © ART KYOTO 2012 実行委員会

同じく東京の写真芸術を専門に扱うエモン・フォトギャラリーのクリストファー・バックロー「Guest」シリーズ。現代的な印象を与えるこのシリーズだが、その手法はフォトグラムというカメラを使わずに撮影をする古典的手法を再構築したものだ。作品は、印画紙を用い、アルミ箔に25000ものピンホールをあけて太陽光を使って感光させるというシンプルなもの。青色の作品は太陽光のまま、黄色など別の色の作品は、カラーゼラチンフィルムを使って着色をするという。細かな光の点の配置や大きさのためか、人物は立体的に見え、人間の強い生命エネルギーのようであり、何か未来の別の生命体のようにも見え、とても不思議な印象を受ける。

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MIZUMA ART GALLERY / 国立京都国際会館 Photo: 表恒匡 © ART KYOTO 2012 実行委員会

ミヅマアートギャラリーのブースでも興味深い作品がいくつも見られた。正面に展示された青山悟の「21世紀のクラフトリサーチ」は、ピカソやダミアン・ハースト、岡本太郎など有名なアーティストたちの作品を刺繍し、チャートにまとめた作品。青山氏の視点から、それぞれのアーティストが社会的、保守的などと位置づけされ、視覚化されている。

独自の視点で語られた各アーティストの解説も面白い。一見、なにか生き物の骨格のような作品は彫刻家・森淳一による「creeper」。彼の作品は主に柘植(つげ)の木を用いて制作され、驚くほど細やかに彫られている。この繊細な作品の美しさの中に、脆さや儚さのようなものも感じられる。制作の際には、表面に見えない何かをどう表現するかではなく、外も内もない全体的なものをイメージしているという。

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