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横浜トリエンナーレ 2011

HAPPENINGText: Toshiaki Hozumi

今回の横浜トリエンナーレは、そうした美しくも小ぶりな作品や映像が多く、スペキュタキュラーな迫力のあるインスタレーションは少ない。旧作も多く、丁寧にディレクターたちの目が隅々まで行きわたる範囲でつくられていて、それだけに破綻もないのだが、作品展としてだけ見るといささかの物足りなさが残る、とも言えよう。

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黄金町バザール Sutthirat Supaparinya, Welcome to LOVE LINK DOLLS – Your Voice, 2010

横浜市が運営の主軸となったことにより、トリエンナーレとしての祝祭性や美術展覧会としての規模を大きくするより、「新・港村―小さな未来都市」や「黄金町バザール2011」などの連携事業と協同することによって、横浜という地域性や、全国の草の根のアート活動のつながりの強化、また横浜市民や東京都民が細かく見て、何度も足を運べるようなイベントにしようという意図だったのではないだろうか。総合ディレクターの逢坂氏は「みる」のほかに「そだてる」「つなげる」という言葉を方針としてあげている。

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新・港村〜小さな未来都市(BankART Life Ⅲ)

また、それに関連して、震災による危機感を反映させたこと、外国人作家よりも日本人の若手作家を多く紹介したこと、エッジな作家を紹介するよりもテーマ性を重視して作品同士の様々なレベルでの連動を期待したことなどが今回の横浜トリエンナーレの特色としてあげられる。グローバルな国際展が、ローカルで行われることの意義や力をあらためて考えさせられる内容であった。

毎回毎回、運営方法や会場やディレクターの選出方法ががらりと変わり、一から試行錯誤を繰り返すことを余儀なくされてきた横浜トリエンナーレは、今回も、国際展というものの行く末を様々な点から暗示していたと言えるだろう

ヨコハマトリエンナーレ 2011
OUR MAGIC HOUR-世界はどこまで知ることができるか?ー

総合ディレクター:逢坂恵理子(横浜美術館館長)
アーティスティック・ディレクター:三木あき子
会期:2011年8月6日(土)~11月6日(日)
開場時間:11:00~18:00 ※入場は17:30まで
入場料:【特別連携セット券】一般1,800円、大学生・専門学校1,200円、高校生700円
※ヨコハマトリエンナーレ2011、BankART LifeⅢ、黄金町バザール2011へ入場できるセット券
会場:横浜美術館、日本郵船海岸通倉庫(BankART Studio NYK)、その他周辺地域
主催:横浜市、NHK、朝日新聞社、横浜トリエンナーレ組織委員会
共催:公益財団法人横浜市芸術文化振興財団
支援:文化庁(国際芸術フェスティバル支援事業)
特別協力:国際交流基金
https://www.yokohamatriennale.jp

Text: Toshiaki Hozumi

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