谷口真人個展「アニメ」

HAPPENINGText: Shinobu Ono

最も注目を集める現代アーティストの一人として、ジャンルを問わず多くの人々から支持されている谷口真人の個展「アニメ」が、4月14日まで渋谷「SUNDAY ISSUE」(サンデイ・イシュー)で開催中だ。これまでの代表的なスタイルである鏡を用いた作品に加え、新作平面とドローイングが展示される。

谷口真人個展「アニメ」

インパクトの強い展覧会タイトルの意図について作家は、「生命観、生命や存在を見るまなざしの意味を込めた」と語る。アニメと言う言葉からは、「animation」の語源でもあり魂やアニミズムに通じる「anima」という語や、日本のポピュラーなアニメーション表現などが連想される。

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谷口の作品の表すところとは、人間の、特に私たち日本人の中に存在する“生命観”と“その認識と表出の過程”である。谷口が扱うのは常に少女の図像だ。ほんの短い期間しか少女でいることが叶わない儚さと同時に、彼女達が放つ一瞬の輝きは、「生命の象徴」として彼の表現と強く結びついている。それらは少女の姿をしているが、出会った全ての人イメージの集合体であり、人間そのものの存在を表す。

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アクリル板の向こう側の鏡の中の少女は私たちの中で生命を持って確かに存在する。けれどこちら側に盛り上げられた絵の具の固まりは物質でしかない。その不可解さが生命を感じる現象の仕組みについて考えさせる。これらの作品は、人間に内在するイメージとその表出のプロセスの視覚化であり、リアリティーを持って存在しているはずのイメージに形をあたえた瞬間、(絵の具の塗りによって物質感が増すほどに)その命が儚く崩れてしまう切なさを私たちに訴えかける。

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そしてこの展示で最も目を引くのが巨大な鏡の作品だ。描かれた少女はほぼ等身大で、同タイプの作品としてはこれまでで最大の規模となる。この作品は3.11の震災直後に制作された。

『もしかしたら母親に似ているのかもしれない』と作家が語る少女は、今までに無い強さを持ってこちら側に迫ってくる。その儚げで切ない姿に思わず感情移入してしまう。「母」は、全ての人にとって一番最初に対峙する生命である。作家にとって最もプリミティブな生命観が、この作品には投影されているのかもしれない。

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一本の棒の両端にペンをつけ、片方だけを持って描かれた絵。その持たれていない方のペンが描いた、あやふやで不確かなイメージ。対象を認識しようと、繰り返し存在感の抽出を試みる行為が、客観性を持って画面に定着させられている。

例えば俳句のように、言葉の周囲に漂う存在しない空気や世界を感じさせることは、古くからの日本の“共感”の手法だった。作家の作中に存在する現象も、それが直接何かを表すのでは無く、何処かへ繋がっていくものであり何かを連想させるものなのだ。鏡に写る少女のイメージと物質としての絵の具のあいだに、私たちは自己の生命観とその認識についてのヒントを見るかもしれない。

触りたくても触れないイメージを抽出しようとすることの切なさ、私たちが存在を感じることの不思議を、谷口の作品は問いかけ続ける。

谷口真人 個展「アニメ」
会期:2011年4月2日〜14日
会場:SUNDAY ISSUE
住所:東京都渋谷区渋谷1-17-1 美竹野村ビル2F
営業時間:13:00〜20:00(土・日・祝日 12:00〜19:00)
定休日:月曜日(祝日の場合も休みとなります)
TEL : 03-3797-1288
info@sunday-issue.com
http://www.sunday-issue.com

Text: Shinobu Ono
Photos: Yusuke Isobe

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