アントン・サンドクヴィスト

PEOPLEText: Victor Moreno

アントン・サンドクヴィスト

スウェーデン人には、ビジネスで成功するスキルが自然に備わっているのは間違いなく、このことは、世界の他の国々にとっても、美とお金の価値のバランスにおいて貴重な役割の一端を担っているだろう。加えて、スウェーデン文化・教育交流機関によると、スウェーデンは世界で初めて国営産業に対する環境維持報告書の提出を義務付けた国だという。さらにスウェーデンのファッション業界では近年、その独自のライフスタイルと信頼性を持って、数々のブランドが確固たる地位を築き始めている。そんなブランドの一つが、アントン・サンドクヴィスト率いるブランド「サンドクヴィスト」である。メンズバッグの市場に名乗りを上げたブランドは、日常における新しいアクセサリーの提案を行い、最近注目を集めつつある。

バッグの会社を始めようと思ったのはどうしてですか?

会計マネージャーとして働いていた仕事ではクリエイティビティに欠けていたので、仕事以外の時に色々なものをつくって遊ぶようになりました。初めて鞄を縫う前には、照明や家具などもつくってましたね。最初は単純に何かクリエイティブなものをつくりたいと始めたことだったのです。手先は器用は方で、子供の頃からもともと何かを組み立てたり、縫ったり、手作業を好んでしていましたからね。それで、周囲の人々が自分の鞄に関心を持ち始めるようになってから、市場にはメンズ向けの素敵な鞄があまりないことに気付いたのがきっかけで、サンドクヴィストのバッグを始めることにしたのです。

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デザインする中で大切にしていることは何ですか?

時代に左右されないスタイル、機能と耐久性を兼ね備えてること。これから20年後に若者が、両親のクローゼットでビンテージのサンドクヴィストのバッグを見つけて気に入って使ってくれたら、とても嬉しいですね。

今の基本的な枠組みはどのようになっているのでしょう。

現在はキャンバス生地の鞄と皮革鞄という2つの主流ラインがあります。勿論、価格帯も異なってキャンバス地は安価で、質が良くて手頃なアイテムを作る時にはこの丈夫で使い込まれながら現れる魅力、そして安い価格帯が適しています。そしてまた、美しいブリーフケースや数十年に渡って使い続けるモノには高品質な皮革に勝るものはありません。言うまでもなくコストもそれに応じてかかってくるのですが。

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サンドクヴィストはスカンジナビア人の大都会と片田舎の両方のライフスタイルを反映させていますね。

そう思ったなら嬉しいですね。大都会や片田舎といった特定のターゲットに向けた鞄作りをしているわけではないので。自分と弟のダニエル、2人でサンドクヴィストのデザインを担当しています。2人ともストックホルムに住みながらも、ハイキングやスキー、釣りといったアウトドア生活も満喫しています。なので自然にスタイルになったのでしょう。陳腐に聞こえてしまうかもしれないけれど、自分たちが使ってみたい鞄を作っているだけなのです。少なくとも自分の名前をそこに付けている限りは。

サーミ人は、北欧の北方先住民族ですが、実際のスウェーデンの社会では、どのように考えられていると思いますか?また、ブランドのデザインにどのような影響を与えていると思いますか?

サーミの伝統はとても魅力的です。彼らは、独立して自然と共に生活を営み、サーミナイフや伝統衣装など日常生活で使用するものは、その機能を備えた手作りでありながらも同時に芸術性が高いのです。まず明確な機能性を兼ね備えながら、それに加えてとても美しいものに仕上げるという考えに共感します。

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サンドクヴィストには男性的な礎から成長してきた性格があります。婦人用ラインの開始時期や予定はありますか?

確かに私たちの鞄のほとんどが紳士用とみなされているのは事実で、それは自分で使いたい鞄を作り始めたことに由来しているのだと思います。ややシンプルな仕上がりとなっている婦人用鞄もいくつかあるのですが、紳士用と婦人用を区別するのは時として難しいですね。正直に言って、自分たちの製品を性別で分類するのは好まないし、誰でも気に入ったものを選んでもらえれば嬉しいです。

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アントン・コービンとGSYター、ユルゲン・テラーとマークジェイコブスといった他のブランドでも見受けられるように、あなた方はいつもスウェーデンの写真家クノータンと一緒にキャンペーンを行っていますね。

クノータンとの付き合いは2005年の初期の撮影から始まりました。彼はどこにでもあるシンプルな美を見出す才に恵まれていて、モデルを最大限に生かす術を持ち合わせた一緒に仕事をするにはうってつけの人物です。写真家としてだけに留まらず、ホントに素晴らしいディレクターでもあり、彼の作り出すイメージは、ブランドにとってとても大切な役割を担っています。2005年の撮影で知り合って以来、今では大切な親友です。

ストックホルムエリアで産声を上げたブランドは、スカンジナビア、そして周辺のヨーロッパの国々へと成長を遂げてきました。ブランドにとって現時点でどちらの市場が大きな可能性を秘めていますか?

スウェーデンは自分たちの故郷であり、スウェーデンらしい製品をデザインしていく上では、ここでの活動はこれからも大切にしていきたいです。ドイツ、英国、日本や韓国といった市場でも素晴らしいスタートを切ることができているし、既にベルリンやミュンヘン、ロンドンの良質なセレクトショップでも取り上げられるようになってきました。米国でもいくつかの地域では自然や文化的遺産との組み合わせがファッション界で成功しているようだし、魅力的なマーケットであることは以前から認識をしています。ただ、自分たちは小さなブランドであるし、時を見極めながら歩みを進めていくつもりです。今は主にヨーロッパでの成長に勢力を注ぎたいかので。

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ストックホルムにフラッグシップストアはありますか?

いえ、まだありません。直営店を持つにはまだ十分な規模ではないかもしれません。でもいつかこの街で持てたら嬉しいけれど、私たちの良き顧客でもある良質な小売店、「グランパ」では全てのラインが取り揃えられているので、そこに直営店を立ち上げて競い合うのは少し微妙な感じがします。その代わりにいつかベルリンの街にオープンということもあるかもしれません。

アイテムやアクセサリーを見て感じることは、あなたは自然との親しみを大切にしているということ。仕事外での過ごし方を聞かせてもらえますか?

自分もダニエルも釣り、特にフライフィッシングに結構はまっています。そうですね、ダニエルは釣り人、私はのんびりと過ごしているタイプかな。実際に釣りをしているよりも、自然や冒険を楽しむのが好きなのです。90年代には2人でロッククライミングもよくしていました。一番のお気に入りは冬の終わりから春にかけてのスキーハイキングです。

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本当にスカンジナビアは素晴らしい自然に恵まれていますね。何か特別な思い出はありますか?

昨年の冬にスウェーデンの北西に位置するショーハーレット山へ夜間スキーハイキングへ出掛けました。12月の終わりで、その時期には日が出ているのはほんの数時間だけ。夜の8時頃に一人で出発して道の終わる国立公園まで車で行き、そこで足下を照らすヘッドランプを装着してスキーに履き替えるのです。木々の間を抜けて登っていくと、そこには満月のみが光り照らす巨大な白い勾配が広がっている。氷点下20℃の極限の静寂。この2週間程は誰もこの国立公園に足を踏み入れていなかったようで、数メートル降り積もった新鮮な雪を滑っていくのです。真夜中をまわったころに最後の傾斜を山の麓の小さな山小屋へ向けて滑走して、そこの鉄ストーブに火を熾してちょっとした食べ物をほおばりながらウィスキーに煙草、それから寝袋に滑り込んで赤子のように眠りに落ちていいったことです。

SANDQVIST
住所:Tideliusgatan 63, 5tr, SE-118 69 Stockholm
TEL:+46 705 27 69 10
anton@sandqvist.net
http://www.sandqvist.net

Text: Victor Moreno
Translation: Yoshitaka Futakawa
Photos: © Knotan

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