「左岸/右岸」展

HAPPENINGText: Kana Sunayama

現代美術コレクターではないアートラバーたちが、作品を堪能できる場所と言えば思い浮かぶのは美術館、ギャラリー、アートフェアだろうか。しかし9月の9日から25日までのパリでは、普段はアクセス不可能に思える場所が、アートラバー達にも公開された。

パリはセーヌ川をはさんで、北側は右岸、南側を左岸と分類される。そんな両河岸の6つの場所で、ニューヨーク在住のギャラリスト、マーク・ジャンクーによってグループ展「左岸/右岸」が開催された。フランスではなかなか見る機会のない、ドイツ人、イギリス人、アメリカ人などの現代作家達27名による全150作品近くが、右岸で2カ所、左岸で6カ所お披露目された。

パリ 左岸/右岸展

マレ地区に位置するモードのデザイナーであるアゼディン・アライアのショールームでは、二階部分が吹き抜けになったガラス天井を利用し、天井からつり下げられた作品などの比較的大きなクリスチャン・ホルスタッドのインスタレーションを中心に、まるでアミューズメントパークのような楽しい展覧会。

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またサンジェルマンデプレの有名な剥製標本店「デロール」でも、いつものライオンやシカやキリンの剥製の間にルーシー・ステインの絵画を発見できる。

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オークショナーであるジャン・マルセル・カマールの自宅のアパルトモンや、地下展示室に続く階段までもがセラミックで覆われた陶芸商のルイス・ルフェーブルのギャラリーなど、普段なら現代美術作品を見る場所ではないところでの展示が楽しめる。

マーク・ジャンクーがパリに来れば街並の風景を楽しむ散歩中に、いつも立ち寄る場所にコラボレーションを依頼して実現したこの展覧会。街を散策しながら楽しめる現代美術のグループ展。2008年にはジュネーブで開催され、2010年はパリ、そして2012年にはベルギーのアントワープで、2014年にはスペインのセビリアで開催されることが決定している。

Rive Gauche / Rive Droite
会期:2010年9月4日〜25日
会場:パリの点在する6カ所
http://www.marcjancou.com

Text: Kana Sunayama
Photos: Kana Sunayama

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