ポリクセニ・パパペトルー

PEOPLEText: Mariko Takei

ビトウィーン・ワールズの写真はどこで撮影されているのですか?またそのロケーションを選んだ理由も教えて下さい。

ひとつを除く他の写真は、私の住むヴィクトリア州で撮影しました。ほとんどのロケーションは、メルボルンから車でそんなに遠くない場所です。作品に登場するいくつかの風景を選んだ理由は、空間のエッジ、時代の終わりを感じさせるような場所だったので。子供が動物の王国へ入る楽しみなど、不思議なことを伝える場所に感じたのです。作品の中で風景を使用することで、幅広い解釈のイメージを持てるし、登場する子供/動物の生き物がどこに住んでいるのかと思索を促してもくれます。

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© Polixeni Papapetrou “Miles From Nowhere” (Games of Consequence) 2008

「ゲームズ・オブ・コンシークエンス」や「ハウンティド・カントリー」など過去の作品でも、あなたの作品には子供が登場してきますね。子供やファンタジー物語に魅力を感じるのはなぜだと思いますか?

私にとって子供の写真はある種の魔法を持っているのです。それは、子供達の中には、いまだに知ることのできない事柄があるし、彼らの将来も謎に満ちているからです。私は、子供の将来や未知なる経験や行く末の運命など、未知なる事象について考えます。現在11才と13才の私の子供達の写真を撮るようになる前から、すでに子供のイメージに引かれるものがありましたね。でも、子供が生まれたことで、子供時代の写真を撮りたいと強く思うようになりました。

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© Polixeni Papapetrou “The Fall” (Games of Consequence) 2008

子供の写真作品をつくるようになったのは、自分たちの文化に対する考えを理解するのに、子供時代を通じて表現されるのが最適な方法と思ったからです。文化の中で子供達が持つ意味を理解するために、子供期の形成を歴史的に同期的な視点から見るのが好きなのです。いち社会として、科学的技術的進歩によって自分たちを計ることはできますが、社会の精神性はどうやって計ったらいいのでしょう?私は、文化にあるエッセンスやソウルを子供が持っていると思っていて、それ故、子供時代には、大人の欲望や期待が沢山詰め込まれていて、大人が子供に見たいと思う特性(例えば無邪気さ)が授けられてるのかもしれません。

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© Polixeni Papapetrou “Hanging Rock 1900 #3” (Haunted Country) 2006

写真作品では、子供時代や文化のもつ意味について考えることのできるコンテクストをつくりたいと思っています。私の作品は見る者をファンタジーや物語の世界へ誘いますが、写真の中に表現される子供時代に対して私たちが抱く期待感にもチャレンジしているのです。例えば「ドリームチャイルド」(2003)や「ワンダーランド」(2004)などの作品で表現した19世紀の写真であろうと、「ファントムワイズ」(2002)にあるような仮装の展開や、「ハウンティド・カントリー」(2006)で表現される植民地時代のオーストラリアの子供時代の追体験や、「ゲームズ・オブ・コンシークエンス」(2008)の現在の世界に成長する子供達の抑制された生活や失われた自由についてや、「ビトウィーン・ワールズ」(2009)の人間と動物、子供と大人を分離するものについての考察など、子供時代の表現についてのアイディアをどう生かそうと、それは曖昧さの内側にあるもので、子供が私たちの理解するものの中に有する空間や、アートという舞台を子供達がどう見下ろすのだろうかを私は推し測ろうとしているのです。私の子供や友人達の様々な役割や装い、演技や芸の写真を撮ることは、私にとっては、神話や小説、私自身の個人的な経験に繋がる探求の旅をトレースしているのです。

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