プリマベーラ・サウンド 2010
10周年記念ということもあり、誰もが今年のプリマベーラ・サウンドのフェスティバルは、史上最高の出来になると感じてた。今回新たなスポンサーを得て、(危機の為)バラエティ豊かな音楽と巨大なインディーロックの演出を残した唯一のフェスティバルとなった。
ペーブメント、ピキシーズ、ウィルコ、ペットショップボーイズ、ワイヤーを筆頭に、200のアーティストという信じられないラインナップで、チケットはキャンディが売れるかのように売れた。
Sic Alps
パルク・デル・フォルムにてスタートを切った今年のフェスティバル。当然今年は、ピッチフォークステージで、ローファイ・ガレージロッカーのシク・アルプス(僕のお気に入りのバンドの一つ)の演奏と共に開幕し、フェスティバルは順調に滑り出した。
Monotonix
その後すぐに、ワイルドなイスラエル人のモノトニックスのショーを見にヴァイス・ステージ(フェスティバルで最も奇妙なステージを繰り広げることで有名)に向かった。ショーは、今まで見た中で最もパワフルで、聴衆が夢中になって飛び跳ねたり踊ったりするほどの盛況ぶり(これはフェスティバル初日のまだ午後7時の出来事だ)。
The Fall
メインステージのサン・ミゲールがマーク・E・スミスとザ・フォールと共に登場。会場は、イギリス人で一杯になり、まるで天国のようだ。
The XX
そして、ニュージャージーからガレージパンク・バンドのティタス・アンドロニクスが登場。おそらくバルセロナでは初めての登場で、コンサートは非常に素晴らしいものとなった。突然多くの聴衆がある方向へ動き出した。レイバン・ステージで、イギリスのThe XXが登場したからだ。フェスティバル全体としても、もっとも期待されているバンドの一つで、会場を盛り上げた。
Tortoise
オーディエンスをがっかりさせることのないシカゴ出身のカルトバンド、トータスはATPステージでクラウト、ジャズ、ロック、ファンキーを混ぜたステージを披露し、曲に合わせて聴衆と踊りながら心を通わせ、非常に素晴らしいパフォーマンスを行った。
Comanechi
また、初日のレイバン・テントでは、僕のお気に入りのパワフルUKバンド、コマネチとロック・ザ・カスバのドラム、Keexが20〜30人を前に演奏した。
Pavement
初日の最後は、もちろん、サンミグエルステージ。全員がドリンクとスナック片手に、ステージの前で、伝説のポップロック、ペイブメントの登場を待った。スーパーヒット曲「カット・ユア・ヘア」を皮切りに、ディスコグラフィーを披露し、初日は、今までで最高の一日となった。
Scout Niblett
金曜日は初日同様、豪華な顔ぶれ。ただ、残念なことに同じ時刻に多くの素晴らしいバンドがプレイし、会場間に距離があったため、同時に参加することができなかったことだ。でも、すべてのラインナップが非常に素晴らしかったということでもある。この日の始めは、ATPステージにて、ラブリーで風変わりなポートランドの妖精、スカウト・ニブレッドの演奏スタート。
Beach House
多くの聴衆(僕を含めて)が、この日をATPステージで過ごしていた。ニブレットのすぐ後には、ビーチ・ハウスの素晴らしいポップが皆を楽しませた。このバンドは、町にあるとても小さな会場、プリマベーラ・クラブで演奏をしてきて、その後、大きなステージで演奏するようになり、至るところで彼らの素晴らしいサウンドを聞くことができるようになった。それは本当に素晴らしいことで、ビクトリアの美しい声はまさに夢のようだった。
Les Savy Fav
ショーについて言えば、ATPの同じステージでこの日の最高のライブといえば、ニューヨークのロッカー、レ・サビィ・ファブと、カリスマ的なティム・ハリントンが共に登場したコンサートだろう。巨大なパーティーさながらで、会場は大喝采に包まれた。
Best Coats
ピッチフォークでは最近のベストバンドである、LA出身のローファイポップロックのフレッシュバンド、ベスト・コーツとLAの、ガレージ・インディ・ロックのギャングリアンズが登場して、2つのバンドで会場の聴衆を釘付けにした。
Ganglians
休む暇などなく、続いては、ボストン出身の伝説のインディーロッカー、ピクシーズの出番だ。
Pixies
まるで全てのバルセロナがカタルーニャの一部のようにそこにあるように見えた。今まで見たことないフォーラムの盛況振りだったからだ(オーガナイザーの予想10万人を超える訪問者があったことと思う)。午後1時15分、ピクシーズがサンミゲール・ステージに登場。観客をヒット曲や神秘的な歌で熱狂させた。互いに好いているのか、嫌っているのかは分からないが、単純にライブで一緒になっているのを見ることができるなんて信じられないほど。これがフェスティバルの目玉となったのかもしれない。
Atlas Sound
土曜日は、人々は昨晩の二日酔いから徐々に回復しつつ、アトラスサウンドと共にディアハンターのフロントマンのソロをピッチフォークからスタート。ショーは非常に、ムードがあり繊細なものとなった。続いて登場したのが、幻覚的なレゲェファンクの英国人女傑のスリッツだ。
Grizzly Bear
レイバン・ステージは、ニューヨーカー、グリズリィー・ベアのエレガントなサウンドで満員となり、バンドはポップフォークと幻覚的なサウンドで、フェスティバルの中でも最高の演奏を披露。近い将来、いつも変わらぬクラシックを提供してくれるバンドとなること間違いない。
NO AGE
プリマベーラ・サウンドの若手出演者で、アンビエント・ノイズやティーンエイジ・ファストパンクを楽しませてくれたノーエイジは、数年前の初ステージから毎年参加。聴衆も彼らのライブでクラウドサーフを毎回楽しみにしているようだ。いつもながら素晴らしいステージだった。
Dum Dum Girls
ガールズバンド、ダム・ダム・ガールズは、美しくダークなスタイルで登場し、音楽と女性らしさの両方でファンタスティックなショーで聴衆を魅了した。
Florence + The Machine
魅了すると言うことでは、サンミゲール・ステージでスコットランドのプリンセス、フローレンス・メアリー・レオンティン・ウェルチ・フローレンス+マシーンが登場。ある聴衆はこのバンドだけを見るために、このステージに張り付いていたようだ。
Pet Shop Boys
ライブツアー「パンデモニウムツアー」の途中でバルセロナに立ち寄ったペット・ショップ・ボーイズ。彼らのライブで、聴衆はダンスに夢中。さながらパーティータイムの様子となり、プリマベーラの最後の夜を飾った。
今年の素晴らしかったプリマベーラ・サウンドにサヨナラするために、ヴァイス・ステージのアールマイティー・ディフェンダーズのいるパーティ会場へと歩を進めた。(そのバンドは、キング・カーン&バーベーキュー・ショウ とブラック・リップスにより結成された。)同じヴァイス・ステージで見た今年最後のショーは、カリフォルニア・ヘルスのパワフルなノイズサウンドだった。
今年のフェスティバルは本当にスリルがあってクタクタになるほど楽しめた。プリマベーラ・サウンドの10周年はとても嬉しく、我々に素晴らしい時間を与えてくれたことを非常に感謝したい。では、プリマベーラ・クラブでお会いしましょう!
San Miguel Primavera Sound 2010
会期:2010年5月27日〜29日
会場:パルク・デル・フォルム
http://www.primaverasound.com
Text: Julio Cesar Palacio from Panopttic
Translation: Kazunari Hongo
Photos: Julio Cesar Palacio from Panopttic