NIKE 公式オンラインストア

北海道立体表現展 2010

HAPPENINGText: Tamami Kadowaki

札幌芸術の森美術館では、参加アーティストによるギャラリートークが催された。アーティスト自らが各々の作品についての解説をしてくれる。ham001.jpg
前庭、中庭から館内までをアーティストも来場者も一緒になって廻るというのが貴重な体験であった。午後2時に天気は最高潮。札幌ではこの時期特有のポプラの綿毛が大量に舞っていたのだが、それもインスタレーション作品の様であった。この会場で展示された作品もいくつか紹介したい。

ham002.jpg
山田良「Infinite Landscape」

美術館前の池に浮かぶ作品山田良の「Infinite Landscape」。作品から地上へと続く細い道が繋がっている。そこを渡らないと中を知ることはできない。子供たちがこぞって渡っていた。山田氏は『そこに生じる空間そのものが作品であり、変化していくものである。作品を渡る人や天気によって変わる影のでき方まで全てが作品の一部になりうる。』と話す。

ham005.jpg
写真左:富原加奈子「雪の景」

富原加奈子「雪の景」は、立体全体に白い布を覆った作品で、北海道の雪を表現している。飛行機から見下ろした一面真っ白の地上。よく見ると白の色調は様々であり、雪の上からうっすら見える地表を表現したのだろうか。布はフェルトのようなやわらかい印象の素材で、北海道のあたたかさや優しさを表現しているようだ。

ham003.jpg
写真左:野村裕之「単純に作ること」

札幌軟石を用いた塔を連想させる野村裕之の作品「単純に作ること」。タイトルの通りシンプルに造り上げられたこの作品は、石の素材をよく活かすための計算からだと彼のプレゼンを拝聴して感じた。野村氏が『最近の現代美術は新しいものの見方や美しさの切り口を提案することが多い。その中で石や木を彫り続けたい。』と熱く語っていたのが印象的だった。

ham004.jpg
札幌芸術の森美術館展示風景

イベントは盛況で大人数の移動とアーティストの熱い語りによって20分程度押しての終了となった。アーティストが主催して行う展覧会はめずらしい。バスに同乗していた荒井氏も泉氏もアーティストである。北の熱いパワーを感じてほしいという言葉が印象的だった。その言葉の通り、この展覧会に魅せられたファンは多い。バスで私の隣に座った女性も毎回必ず観に来ていたという。10年という節目の年で展覧会は終焉を迎えるが、北海道のアートシーンはこれからも進化し続けていく。この様な展覧会がまたいつか開催されて欲しいと願う。

参加アーティスト:荒井善則、池田緑、泉修次、伊藤明彦、梅田マサノリ、加藤宏子、国松希根太、齋藤健昭、櫻井亮、下沢敏也、菅原尚俊、杉田光江、鈴木隆、千代明、高橋昭五郎、武田享恵、千葉有造、中江紀洋、仲嶋貴将、野又圭司、長谷川裕恭、端聡、藤本和彦、松田郁美、山田吉泰、山本美沙、山本良鷹、吉田茂、渡邊希、阿地信美智、阿部典英、伊賀信、柿崎熙、國松明日香、熊澤桂子、坂本正太郎、佐々木けいし、澁谷俊彦、田村陽子、富原加奈子、野村裕之、伴翼、藤井忠行、藤沢レオ、藤田尚宏、松井成樹、毛内やすはる、森川亮輔、伊藤隆弘、ダムダンライ、楢原武正、韮沢淳一、林弘堯、原田ミドー、山田良、渡辺行夫

北海道立体表現展’10
会場1:道立近代美術館
会期:2010年5月29日(土)~6月6日(日)
住所:札幌市中央区北1西17
観覧料:一般 700円、大学生 400円、高校生以下無料
https://www.aurora-net.or.jp/art/dokinbi/

会場2:本郷新記念札幌彫刻美術館
会期:2010年5月15日(土)~6月27日(日)
開館時間:10:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日 月曜日(月曜日が祝日等の場合は翌日)
住所:札幌市中央区宮の森4-12
観覧料:一般 500円、高大生 300円、中学生以下無料
https://www.hongoshin-smos.jp

会場3:札幌芸術の森美術館
会期:2010年6月4日(金)~6月13日(日)
開館時間:9:45~17:30
住所:札幌市南区芸術の森2
観覧料:一般 700円、大学生 400円、高校生以下無料
https://www.artpark.or.jp

Text: Tamami Kadowaki
Photos: Aiko Watanabe

【ボランティア募集】翻訳・編集ライターを募集中です。詳細はメールでお問い合わせください。
MoMA STORE