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ヴィ・フォー・ベース

THINGSText: Adib Jalal

「ヴィ・フォー・ベース(V for Vase)」は、ハンズ・タン・スタジオシンガポール国立大学の工業デザイン科のコラボレーションにより実施されたワークショップのプロジェクトである。

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A vase is a hiding place by Tan Jun Yuan

この“創意に富んだ思考”のもと行われるワークショップは、シリーズ展開する先進的な取組みから構成され、創造力溢れる考え方の解明や思考能力の開発を目指している。シンガポール国立大学の工業デザイン科に在席する24名の学生が学生最後を締めくくるファイナルプロジェクトとして「花瓶(vase)」をテーマにその再解釈を発表した。

展覧会では、24のコンセプチュアルな花瓶のアイディアが展示され、ワークショップの会期中に考えだされた、100以上のユニークな花瓶の定義が紹介された。これら全ての案は、辞書で「口が開いた容器。通常花をいける容器や装飾用として利用される」と定義されている花瓶のもともとの意味よりも、さらに多くを語るものとなった。

このプロジェクトについてハンズ・タンから詳しく聞いてみた。

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A vase is a void by Lim Ruiwen

このワークショッププロジェクトを始めた経緯を教えて下さい。

このワークショップのアイディアについては、1年半前に初めてシンガポール国立大学の工業デザイン科に提案してみたんです。そうしたら、卒業を控えた学生が取り組む課題としてこのワークショップを実施するというチャンスを頂きました。その結果、学生から前向きな反響を受けたことにより、このワークショプを卒業課題として継続することになりました。今回は、学生が「花瓶」の定義を見出しそれを実現するというもので、最終的に23の「花瓶」を展示するものとなりました。

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A vase lives dangerously by Ng Xin Yi

このプロジェクトはデザイン思考を訓練するもののようですが、ワークショップの目的について詳しく教えてもらえますか?

この“創意に富んだ思考”のもと行われるワークショップは、シリーズ展開する取組みにより構成され、創造溢れる思考の解明を目指すというもので、ガストン・バシュラールの、幻想はイメージを構成する能力なのではなく、私たちが知覚するものをデフォルメするもので、直接のイメージから私たちを開放し、そのイメージを変形するとりわけ優れた能力である、とする思想に私が信念を抱いているところからスタートしています。ワークショップの特徴は2つあり、ひとつはデザインエアロビクスの一形式としての「生成変形」という取組みと、もう一つはデザインプロセスにおける積極的な言語の使用というものです。

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A vase should be handled with care by Lim Qilun Royston

今後、他の学生により引継いだり、今回のワークショップの結果からさらに発展させるなど、このワークショップの今後の拡張は予定してますか?

できれば他のデザイン学校や企業などとこのプロジェクトを実施するなど、ワークショップの発展や拡張ができたらと思います。今回と前回実施した結果により、この取組みを改善するのに不可欠な事柄が明らかになりました。続編は今後ありえますね。次回のテーマに取り組むのが楽しみになってきました。

Text: Adib Jalal
Translation: Mariko Takei

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