
DUNE presents AUSTRIAN CONTEMPORARY FASHION.
「DUNE」(デューン)は、有名無名を問わず、世界中からオリジナリティ溢れるブランドを集めたセレクトショップ「Nid」(ニド)を運営している。今回、日本とオーストリア修交140周年をきっかけにスタートしたDUNEによるプロデュースの「DUNE presents AUSTRIAN CONTEMPORARY FASHION」というイベントが2009年10月22日に東京のタマダプロジェクトにて開催。2010年初夏「東京コレクション・ウィーク」の一環として、オーストリアのデザイナーが2010年春夏コレクションを発表した。
ウィーンの紅茶を使ったオリジナルのウェルカムドリンクで迎えられると、普段はギャラリーとして使われている会場はすっかりとショー仕様になっていた。部屋は3つに分けられており、4組のデザイナー・アーティストがプレゼンテーションを行なった。

最初の部屋には、木枠に白く塗った段ボールがはめられているまるで凧のようなオブジェが置かれており、そこに映像作品が映し出されていた。部屋の左隅にはこれまた段ボールで作られた鉢に入れられた観葉植物と椅子、辞書などの本が無造作に置いてあった。

男女合わせて5人のモデルはところどころパッチワークをしたタータンチェックのシャツ、布がつぎはぎされている麻のような素材のジャケット、紐でつくられた サンダルなどを着ており、全体的にボーイッシュなスタイルでありながらも、非常にエレガントで、上流階級の子息が反抗してワイルドなものに憧れているかの ようなスタイルだ。これは「house of the very island's club division middlesex klassenkampf but the question is where are you, now?」というブランドによるもので、このショーで彼らは環境問題などの社会的な問題、政治、哲学に対する疑問を表現している。

最初のショー が終わると、観客はゾロゾロと次の部屋に移動した。そこでは、「ペリカン・アベニュー」によるパフォーマンスが行なわれた。部屋の一部にたくさんの布が広げてつるしてあり、壁にはさまざまな写真とテレビモニターが設置されていた。布がつるしてある部分が舞台のようになっており、ひとりの男性がコンピューターを使いながら音楽を流していた。

すると、2人の女性が踊りながら登場し、ロープに掛かっている布を着たり脱いだりし始めた。ダンスはオーストリアのダンサー「Krõõt Juurak」と、ベルリン在住のエレクトロガールズバンド「チックス・オン・スピード」のアレクサンドラによって演じられた。そこに「THALIA」というバンドメンバ−のベンジャミンが音響担当として加わり、3人の新しいコラボレーションが実現。アレクサンドラの身体には電子工具のボタンのようなものが貼り付けられ、踊りながらそのボタンを2つ連続で押すと、一つの言葉になる。例えば、"ファッ”+“ション”や“キャット”+“ウォーク”だ。彼らのこのアプローチはユーモラスであり、既存のファッション業界に対する皮肉が含まれている。いわば、新しいファッションショーの形がこのパフォーマンスで提案されたのだ。

最後の部屋で行なわれたプレゼンテーションは、「エドウィナ・ホール」と「ファブリス・インターシーズン」の2つのブランドによるもの。エドウィナ・ホールは2000年から東京をベースにしており、その服作りのテーマは「適用性」。単なる服の形だけではなく、人が服を着ることで服のシルエットが完成すると考えている。よって、今回のコレクションでも、ドレープやジャージー素材など、人が着用し動くことによってシルエットが変るパターンや素材を多く使用。

また、パジャマのような前あわせのパターンや、手ぬぐいのような素材のマントなど日本からインスピレーションを受けた要素も見られた。ショーの中盤ではひょっとこのようなメイクをした人がダンスをしたり、ゲームを手にした少年が立っていたりと日本を感じさせる演出だった。

トリを務めたのは、「ファブリックスインターシーズン」。アートコーディネーション、文化歴史学、デザイン、演劇、エレクトロニカ、社会政治、などをコンセプトにしたショーを多く手がけ、その現代アート的アプローチから、多くの業界関係者、クリエーターの注目を集めるブランドだ。今シーズンは、漁師などのワーカーをテーマにした服装がみられた。

例えば、網をモチーフにしたマントや麻袋で作られたブーツ、ハチマキモチーフのアクセサリーなど、素材やモチーフの使い方は 独創的でユニーク。また、柔らかい素材でゆったりと布を使ってドレープを出したドレスの上に、仕立てが美しいテーラードジャケットの片袖のみに袖を通すという着こなし。この相反するスタイルの組み合わせ方がとても個性的で新しいシルエットを作り出している。
オーストリアデザイナーという枠でファッションを見たことが無かったが、オーストリアファッションは独自性に富んだ中にもエレガントで洗練された雰囲気がある。今後もオーストリアファッションに注目だ。
DUNE presents AUSTRIAN CONTEMPORARY FASHION
日時:2009年10月22日
会場:タマダプロジェクト
主催:DUNE
http://www.dune-jp.net
Text: Wakana Kawahito
Photo: Naoko Nambu