イラストレイティブ・ベルリン 2009

HAPPENINGText: Anna Saulwick

イラストレイティブ・ベルリン」は4年前に始まったフェスティバル。今回5回目を迎えた。ベルリンでの控え目なグループ展から世界中のイラストレーターの作品をフィーチャーする移動式のフェスティバルへと成長し、現在では会議プログラム、ポートフォリオ・フェアのイベント、ヨーロッパの最も素晴らしいイラストとグラフィック・アートスクールからの作品の展示、ヤング・イラストレーター・アワードなど、様々なプログラムを展開している。

Illustrative Berlin 2009

フェスティバル初日の夜、興奮に包まれたベルリンのヴィラ・エリザベスでの視覚の宴は、季節はずれの冷たい外気を暖かなものにし、大きく膨らんだ人々の群れが展示会場内へ波のように押し寄せた。会場の中に入った私たちは、クリエイティブな作品の茂みや立木の間を部屋から部屋へと歩き回る。そして、この60名を超えるアーティストにスポットを当てたフェスティバルの注目の展覧会が単にイラストを集めただけではないことに気が付いた。

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イラストは、もちろん、ある特定の過程を経て作り出される最終形なものだ。イラストは、実例を証明し、照らし(英語原文の「illuminate」は、イラスト(illustrate)の語源でもある)、明快にし、披露し、提供しようとしたもので、定義上、文章と繋がりをもっている。しかし、これら作品には文章を発見することはなく、それらはイラストというよりは美術作品のように見えた。この印象は、ここに集められた作品を『イラストレイターによって制作されたアート』と描写する展覧会のキュレーターであるパスカル・ヨハンセンによって強調されている。

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考えさせられたことは、「なぜイラストレーターなのか? 」「なぜアーティストによるアートではないか? 」「もしくは、建築家、造船家や家具職人のアートではないのか?」しかし、特にイラストレーターのアートに関しては何か無視できないものがある。もちろん、イラストは素晴らしいコミュニケーションで、賢いアイディアで、美しいものですらあるが、私はさらに美意識におけるユニークな実験としてイラストレーションを考えずにはいられない。イラストにより、その芸術性あるアイディアの登場や発展を私たちが目の当たりにすることを可能にしたのは、なぜならイラストレーターの感心は完全に別のところにあるからだ。

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