
2009年オーストリア・ジャパンイヤーの期間中、シフトマガジンとオーストリアンファッション.NETのコラボレーションによって実現されたデザイナーポートレイトの第二弾の今回は、特にアバンギャルドな女性向けファッションを提案する4人のオーストリア人デザイナーの作品を紹介したい。今はまだ世界的に有名な存在ではないかもしれないが、どのデザイナーも日本ではとてもよく知られているデザイナーだ。もしかしたら彼ら自身の国においてよりも日本においての方がよく知られているかもしれない。とはいえ、ファッションに敏感な人々にとって、オーストリアは日本と同じくらい、大胆でオープンマインドといった印象からはかけ離れた国だろう。




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© Claudia Rosa Lukas, Photos: Yvonne Kaufmann
クラウディア・ローザ・ルーカス
国際的に活躍している多くのオーストリア人デザイナーのように、クラウディア・ローザ・ルーカスもまた、ウィーン応用芸術大学を卒業。彼女は在学中、ヴィヴィアン・ウエストウッドやヘルムート・ラング、ジャンシャルル・ドゥ・カステルジャックの下で、実に様々な種類の美学を学んだ。彼女独特の優れたデザイン力は、ファッション業界で重要とされるウィーン・ファッション・アワードを受賞した際に正式に認められた。南フランスのイエールで2002年に行われ、才能発掘の場として世界で最も注目されていることで有名なファッションと写真のフェスティバルではファイナリストにも選ばれた。クラウディア・ローザ・ルーカスはクリエイティブな分野(建築、メディアアート等)に関連するすべてのものに関心を持っており、それら全てから受けたインスピレーションをファッッションを通して表現している。また、彼女は世界でも有名なウィーンのオペラ劇場での衣装制作も行っている。クラウディアの生みだすファッションは落ち着いたものでありながら、過剰に自分を飾ることをしない、働く現代女性のイメージを表現しているのが特徴である。もちろん彼女のデザインからは全てのマイナス要素が取り除かれている。カジュアルなストリートウェアからの影響と上流階級向けの上品な女性のファッションとの融合が、アメリカのファンの要望に見事応えるかたちとなった。クラウディアはディテールを愛する多くの人々の支持を得るに違いない。

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© Awareness & Consciousness, Photos: Bettina Komenda
アウェアネス・アンド・コンシャスネス
もしもファッションブランドに正しい名前というものがあったとしたら、クリスティアーヌ・グルーバーはこの「アウェアネス・アンド・コンシャスネス」で、見事それを成し遂げたと言えるだろう。はじめはジュエリーデザイナーのアンネリーゼ・シュレンクとの共同プロジェクトとしてスタートしたが、いまやこのブランドはグルーバーひとりによるファッション分野における作品を扱うブランドとなっている。クリスティアーヌはウィーン応用芸術大学の卒業生で、在学中にはキャステルバジャックやヴィクター・アンド・ロルフやラフ・シモンズのもとで学んだ。一目で彼女のものだとわかる特徴的なデザインは5年程前に入念な努力とともに確立され、ついにその努力がむくわれることとなった。何度もファッションアワードで受賞(2002年文化省ファッションアワード、2007年リンクシュトラーセン・ギャラリー・アワード、2008年オーストリア・フォッション・アワード)したクリスティアーヌ・グルーバーは、自身のブランドのもつ可能性を信じている。彼女はパリのプレタポルテ・ファッションウィーク期間中に作品を発表し、その柔らかく流れるようなシルエットにはたくさんのゲストが魅了された。彼女のデザインのキーとなっているのは、繊細なジャージー素材に引かれたシンプルなパターンであり、まるでチュニックのような、羽根のように軽いジャンプスーツを作り上げている。また、彼女の洋服を美しく飾っている繊細にデザインされたグラフィック装飾も人々を魅了するディテールであり、巧みな技術によって生み出されている。




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© Claudia Brandmair: Courtesy of Claudia Brandmair
Cクラウディア・ブランドメイヤー
クラウディア・ブランドメイヤーは一度はニューヨークでマーク・ジェイコブスのデザインチームのひとりとして働いていたが、2000年代初頭に自身のブランドを立ち上げ、2004年に行われたパリのファッションウィークより定期的にファッションウィークに参加している。クラウディアは2002年の文化省ファッション・アワードで受賞し、2007年には世界への発信とマーケティング戦略を行うための基金で、ウィーンを中心としたデザインサポートプログラムである「ディパーチャー」に選ばれた。これは、デザイナーの不断の努力といったものとともに、ブランドのもつ美学を世に発信できるという点で大きなメリットを持っている。彼女のポートフォリオに目を通せば、その強烈な色と派手なデザインに驚きを隠せないだろう。むしろ、クラウディアの関心は、印象的なシルエットをベーシック、かつ、少ない色で表現することで再解釈し、小さな変化や変形によって親しみやすいルックスを生みだし、そうすることで季節を通して彼女独特のラインの発展におもしろい変化をもたらすということにある。全体の特徴としてあるのがクリーンでシンプルということだ。クラウディアの現在のコレクションは、プリーツやドレス前面のルーシュといった他とはすこし違ったものを作り出しているだけでなく、以前から用いられてきたディテール(透き通った装飾や光る素材など)をも特徴としている。



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© Anna Aichinger, Photos: Irina Gavrich
アンナ・アイヒンガー
コレクションが人々の目にとまるよう、デザイナーはコレクションタイトル選びを入念に行いたいものだ。「アルファガールズ」と題された、アンナ・アイヒンガーの2008年春夏コレクション以来、アンナの制作はいつも、自信を持って働いている女性達というテーマと結びついている。その女性達とは、自分の欲しいものが何であるかを理解し、必ずしも仕事の成功と女性としての振る舞いは両立できないものではないとしている人達だ。そして言うまでもないが、もちろんこのテーマはデザイナーの意図に沿ったものである。つまり、セクシーであるといことは、胸や谷間を強調したり、スカートの丈を短くすることではなく、落ち着いていて、自信を持っていることなのである。したがって、下品さや露骨さ、過激さからはかけ離れた、落ち着いたファッションこそがセクシーなのである。オーストリアのファッションシーンに登場した新しい才能のひとりとして、アンナは2006年のウィーン・ファッション・アワードを受賞し、最近開かれたウィーンアワードのセレモニーでは、興味深い国際的なポートフォリオを持つデザイナーとして話題となった。アンナはウィーン商工会議所の後援によって東京で4月9〜10日に開かれるオーストリアのファッションデザイナーによるジョイントショーにも参加する。
最後に掲載画像について。クラウディア・ローザ・ルーカスは彼女の2009年秋冬コレクションをシフト読者のためにプレビューしてくれた。また、他の3人のデザイナーは2009年春夏コレクションを公開。
Text: Daniel Kalt from AUSTRIANFASHION.NET
Translation: Ayano Yamada