COVER HOME > HAPPENING > 第3回ピクトプラズマ・カンファレンス BLOG CITY GUIDE

世界のクリエイティブカルチャーを紹介するトライリンガルオンラインマガジン。
言語切替

SHIFT

Happening 記事一覧

全て表示




【重要】2011年4月以前にメールニュースを登録いただいた方は、お手数ですが再登録お願い致します。

第3回ピクトプラズマ・カンファレンス

キャラクター。アイコン。コミック。アニメ。ロボット。アンドロイド。
第3回ピクトプラズマ・カンファレンス
ベルリンの街、いたるところに貼られているイベントのポスターの中で、一際目立つものがあった。今年で3回目を迎えるピクトプラズマ・カンファレンスのポスターだ。目と口、3つの楕円を組み合わせたシンプルなキャラクターで知られるボリス・ホペックのものだ。人々の目に止まり、記憶に残る、そんなキャラクターの持ち味が発揮されていた。

第3回ピクトプラズマ・カンファレンス

2004年に初めて開催されたこのイベント。アーティストやデザイナーたちの、アイコンを使ったキャラクターへのアプローチを共有することを目的としている。ベルリンの真ん中にある巨大な公園ティアガルテンに位置する「世界文化の家(Haus der Kulturen der Welt)」を会場に、2009年3月19日から21日までの3日間にわたり、世界各国から招かれたアーティストたちのプレゼンテーション、シンポジウム、100を超えるアニメーションのスクリーニング、ワークショップなどが開かれた。また同時に展覧会が開催された。

冬が長く続く今年のベルリン。それでもようやくクロッカスのつぼみがふくらみはじめたティアガルテンの中に流線型の綺麗な建物がある。会場となった世界文化の家だ。カンファレンス初日の19日は天気に恵まれ、キャラクターの顔がついた色とりどりの旗が風にはためいていた。続々と集まる人々の間には多くの言語が飛び交い、このイベントの注目度が伺われる。

第3回ピクトプラズマ・カンファレンス

入るとすぐに、フロリダのデザインユニット、フレンズウィズユーの作品群が出迎えてくれる。柱を囲む四角と、柱を縫うように置かれた巨大な積み木のようなシンプルなデザインだが、絶妙な色と目鼻がついて、わくわくとした雰囲気をつくりだしていた。

初日のプログラムは10時半からはじまり、14時のアーティストプレゼンテーションは200人以上の人々で席が埋まった。
ボリス・ホペックは、本人ではなく友人たちが彼との交流や作品を紹介。スクリーンに、アートフェア、ギャラリーでの展示風景、バルセロナでのグラフィティ、スペイン南西部カディスでの移民をテーマにした作品が次々と映し出され、幅広い活躍に観客は食い入るように見入っていた。

第3回ピクトプラズマ・カンファレンス

次にアルゼンチン出身のイラストレーター、ガストン・カバが、かわいい帽子をかぶって登場。自らつくりだしたキャラクターたちの中から抜け出たような風貌で、手振り身振り声音を変え、会場に笑いを巻き起こし、最後はギターの弾き語りで観客を魅了した。

第3回ピクトプラズマ・カンファレンス

写真は同じくアーティストプレゼンテーションからフェイヤズ・ジャフリ

このカンファレンスの魅力のひとつは、アーティストだけではなく、ロボット学、民族学、メディア理論、美術史などのバックグラウンドを持つ人たちによるフィールドをこえたシンポジウムであろう。10人の研究者たちが3日にわかれ、「Close encounters character perception」「Schaping global media character creation」「Rituals & masquerades get into character」のテーマで行われた。

1日目の「Close encounters character perception」では、それぞれが持ち時間30分で発表、その後ディスカッションの場が設けられた。1組目は、ポツダム大学メディア・シアターの教授ステファニー・ディエクマンとコンピューターゲームのインタラクティブ性の調査をしているミカエル・リエベによる「黒いドット。コミック、アニメ、コンピューターゲームのミニマルなキャラクター(Little Black Dots. Minimal Characters in Comics, Anime, and Computer Games)」。カナダのロングショットコミックスのひとつ、黒いドットの家族だけが登場し、会話を通してそれぞれのドットがキャラクターを持つというものを紹介し、黒いドット「ゼロ・ポイント」のミニマルなキャラクターデザインの流れを、映画「千と千尋の神隠し(宮崎駿監督)」の煤がモチーフのキャラクターなどを引用し、説明していった。

ムーミンの「ニョロニョロ」、もののけ姫にでてくる森の精霊「こだま」から、となりのトトロの「まっくろくろすけ」、そして千と千尋の神隠しの「ススワタリ」。似たような姿形をしたものが多数集まることでひとつのキャラクターを形成しているこれらから、ほとんど同じような黒いドットが会話を通して、それぞれのキャラクターを形成する、まさにインターネット時代の見知らぬ人々が点と点でつながっている様子を思い浮かべた。そして、視覚的にインパクトを持ち、他のものとの差異が絶対条件であるキャラクターのイベントに、一見、キャラクターの最終形態とも言い得るようなひとつひとつが独立したキャラクターを持つ黒いドットをテーマにした発表が行われたことに、このカンファレンスの心意気を感じた。

二人目の村上隆のスーパーフラット、そしてアンドロイドの話しと続き、ディスカッションが終わると、いよいよピクトピア展覧会のオープニングの時間となった。

第3回ピクトプラズマ・カンファレンス

会場は「Remix and Animism」「Paradox of Corporeality」「Get into Character」の3コーナーにわけられ、平日にも関わらず、入場制限をするほどの来場者で賑わった

第3回ピクトプラズマ・カンファレンス

「Remix and Animism」のコーナーにあったアーロン・ステュワートの作品「スライドショー」。既存のいわゆる「かわいい」キャラクターをリミックスする、もしくは「かわいい」姿のわかりやすいキャラクターを用いる際、暴力や性など、そのイメージとは正反対の行為をさせた描写をする作品が多い中、微笑ましい写真にぴったりのキャラクターをあてはめた数々が映し出されるたびに、観客も自然と顔をほころばせながら見入っていた。

第3回ピクトプラズマ・カンファレンス

一際目立っていたAJ FOSIKの作品。”アメリカの民俗芸術の文化的、伝統的なアイコンをモチーフに現代の新しいトーテム、シンボルをつくりだそう”という試みと説明されていたように、一枚一枚色を塗った木片で形作られているシンボリックな動物は、展示場という人工的な建物の中にあっても、どこか自然を感じさせる力強さがあった。

第3回ピクトプラズマ・カンファレンス

フランス出身のアーティスト、イラストレーター、ミュージシャンでもあるショボショボの作品。平面である絵と立体的な体というパラドックスがテーマの「Paradox of Corporeality」のコーナーにぴったりだ。

第3回ピクトプラズマ・カンファレンス

リンゼンのゴーカートは「Get into Character」のコーナー。ひっそりと息をひそめているように見えたキャラクターたちが、照明が赤、青と音楽にのってかわると動きだし、ウサギの目は光り、もちろん人が運転しているのだが、まるで命をふきこまれたキャラクターが自由自在に動きまわっているように見えた。

サマータイムがはじまり、日が一段と長くなったベルリン。展覧会は5月3日まで開催されている。キャラクターが好きな人もそうではない人も、ぜひ足を運んでみてはどうだろうか。どっぷりとピクトピアの世界につかったあとに、ティアガルテンを散歩すれば、お気に入りのキャラクターがどこか樹々の間からこっそりこちらをうかがっている姿が頭に浮かぶかもしれない。

3rd PICTOPLASMA CONFERENCE
FESTIVAL OF NEW CHARACTER WORLDS
会期:2009年3月19日〜21日
会場:Haus der Kulturen der Welt, Berlin
http://www.pictoplasma.com

PICTOPIA EXHIBITION
会期:2009年3月20日〜5月3日
会場:Haus der Kulturen der Welt, Berlin

Text and photos: Ayako Yamamoto

BERLINの様々な情報は、「SHIFT CITY GUIDE BERLIN」でご覧になれます。

Bookmark and Share

関連記事