第5回 ベルリン・ビエンナーレ
HAPPENINGText: Yoshito Maeoka
かつてのノーマンズランド、つまり東ベルリンと西ベルリンの境に位置する巨大な空き地群、今でも視覚的に壁の後と分かるベルリンならではの風景だ。スクルプトゥーレンパーク・ベルリン・ツェントルムはそのような場所をつかったプロジェクトで、2007年より5人のアーティストにより活動が開始され、実験的、意欲的な展示で話題を集めていた。今回のビエンナーレでは同プロジェクトの使用区域を展示会場の一部としている。
Steelkill, Luciana Lamothe, 2008
広がる敷地の中所々にアーティストの作品が点在する。たとえばルチアナ・ラモーテはスペイン語で「CORTARTE TODO(お前を切り落とす)」と大きくビルボードに文字を逆さに書かいた。その背景には、かつての旧共和国宮殿を連想させるシルエットが描かれている。
Untitled, Ania Molska, 2008
一方で他会場で見られた要素を別会場でも見かける。アニア・モイスカの映像作品に登場する構造物。
壁、塀により区切られる空間。住居にまつわる展示を行っていたカタリーナ・セダの作品。
Untitled, Thea Djordjadze, 2008
テェア・ジョルティヤツェの立体作品も目にした。
The Naked City, Pedro Barateiro, 2008
急な雨を凌げそうな屋根のあるベンチを展示しているペトロ・バラテイロは、ノイエ・ナショナル・ギャラリーのシャトルバス乗り場前にも巨大な椅子の彫刻を出品している。
Stripping, Kilian Ruthemann, 2008
キリアン・リュテマンによる無数の穴。
The Arena and the Wasteland, Cyprien Gaillard, 2008
シプリアン・ゲイラードは夜になると明かりが点灯し陰の落ちない空間を作り出していた。
そばに近寄ると突如明確に聞こえだすスーザン・ヒラーによるサウンドインスタレーション等が印象的だった。
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