BORN IN HOKKAIDO

HAPPENING

大地に実る、人とアート

北海道はいよいよ冬。この地で生まれ、そして今も生活している僕にとっては、冬の寒さ、積もる雪には正直うんざりすることもある。でも、夜に雪がしんしんと降って、朝となり、まだ除雪がされない白い世界を眺めると他の星に来たような不思議な気分になる。

北海道近代美術館は、札幌を代表する美術館のひとつ。市内では規模も有数であり立地も中心部に近い。地下鉄を使えばアクセスは簡単。札幌に住んでいて美術を意識した時に最初に足を運ぶ美術館ではないかと思う。今年、設立30周年ということで特別展にてスペシャルな企画が開催された。それについて今回紹介していこう。

Born in Hokkaido


特別展「Born in HOKKAIDO」は、北海道の出身の作家16人の展示企画。現代の作家が出品による平面作品から、立体作品、映像を使ったものなど「今」の多様な美術を紹介する大変見応えのある展示となっている。また、同時に作家と小学生とのコラボレーションという新たなる試みも行われた。会場では16人の作家を「感覚の実り」「想像の実り」「対話の実り」というキーワードにもとづき、空間に分かれ、最後に「実りゆく未来」という位置づけで子供たちの作品を展示している。

Born in Hokkaido
毛内やすはる

今回の展示は、この地に住む現代美術ファンには見逃せないものだが、それにも加えて、普段は美術館にはあまり行かない人にもぜひ足を運んで欲しい。現代美術というと、難しいという印象を持たれる場合がある。「難しさ」について、間違いとはいわないけど、その難易度は他のクラッシックな美術は変わらないと思うし、難しいことが楽しみにも通じているのがアートの魅力だと思う。

Born in Hokkaido
朝地信介

現代美術の楽しみ方としては、平面にしろ、立体にしろ、映像にしろ、まず作品自体を素直に受け止めて欲しい。近づいて見たり、遠くから見たり全体を眺めて、その後は細かい部分を見て欲しい。そこからいろいろ連想したり、空想して欲しい。リラックスして作品をおもしろがって欲しい。そして、同じ人間である作家がなぜ、その表現を行なってみたのか、作者の気持ちを考えてみるといい。僕は作品に対して作家の意図をいろいろ想像するのが、一番の楽しみだと思う。また、一緒に観る連れがいるなら、お互いの印象を交換してみるのもいいだろう。アートとは、答えや結論を楽しむものではない、自分の解釈を楽しむものだと僕は思う。

Born in Hokkaido
Kinpro(新矢千里)

また、今回の作品は、北海道の作家によることから、どこかに北海道らしさが存在していると思う。その共通性、キーワードのようなものを自分なりに探してはどうだろうか。多少、大げさな話しだけど、北海道のアートには、生活や経済をふくめて、今後の北海道の進むべきイメージのヒントが隠されているような気がする。なぜなら、現代美術というのはその名のとおり「今」を写す一種の鏡であり、この地で育った作家の作品には北海道という地のエッセンスがなにかしら含まれていると思うからだ。

本展示は、2008年1月まで行われる。開催期間は長い。冬休み、お正月休みなどを利用して、ぜひ足を運んでいただきたい。また、同時開催の常設展「コレクション物語1977-2007 第III章北海道の美術」では所蔵作品を中心に約250年におよぶ歴史的代表作を観ることができる。両方を観れば北海道の美術の大きなうねりを体験できるに違いない。

「Born in HOKKAIDO」大地に実る、人とアート
会期:2007年11月1日〜2008年1月24日
会場:北海道立近代美術館
開館時間:9:30〜17:00(入場は16:30まで)
休館日:月曜日(ただし、11/5、12/24、1/14は開館)、12/25、12/29〜1/3、1/15
出品作家:青木美歌、朝地信介、池田光弘、貝澤珠美、Kinpro (新矢千里)、毛内やすはる、鈴木涼子、諏訪敦、高橋喜代史、端聡、野上裕之、伴翼、福井路可、真砂雅喜、松永かの、盛本学史

Text and photos: Shinichi Ishikawa (Numero Deux)

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