ANSTOSS (衝突) ベルリン 展

HAPPENING


21カ国、約60人のベルリン在住のトップアーティストが一堂に会した展覧会「ANSTOSS BERLIN」がハウス・アム・ヴァルドゼーで開催された。この美術館は、ベルリンの郊外にあたるダーレム地区に位置しており、1946年、つまり戦後ドイツの黎明期以来の現代美術館として、小さい会場ながらも精鋭たる展覧会を世に送り出している。

会場は閑静な住宅街の駅前の目抜き通りを少し歩いた所に位置しており、手入れの行き届いた生け垣に囲まれた美術館の前提に足を踏み入れると、あり得ない形で融合している二つのログハウスが目に入った。(フィア・レバンドウスキーの作品)この作品はまさしくこの展覧会のタイトル「ANSTOSS」つまり「衝突」そのものである。この言葉に象徴されるように、展覧会は比較的、絵画/彫刻という従来の枠から、それぞれの方向に一歩歩みを進めた結果、人々に「衝突」をもたらした作品がならぶ。言い換えてみれば、近年のベルリン発のアートシーンをにぎわした作家/作品が俯瞰できる様な構成となっていた。一方で「ANSTOSS」とは「キックオフ」の意味でもあり、会期中がワールドカップと重なっていた事も暗に指している。

さて、建物の中に入り受付でチケットを購入した直後、とっさにティノ・セーガル主導によるパフォーマンス、にまたもや「衝突」する。チケットを手渡してくれた係員が、その日の新聞の見出しをひとつ、唐突に読み上げる、熱心な日本のアートファンにとっては横浜トリエンナーレ2005でもおなじみのパフォーマンスだ。

他にも日本で馴染みの深い作家を挙げておくと、同じく横浜トリエンナーレ2005に出品していたジャネット・カーディフ&ジョージ・ビュレス・ミラーが火事現場を目の当たりにする映像作品を展示していた。また当コーナー6月分で取り上げたヨーン・ボックもかつての映像作品を出品。例によって彼の生み出す不思議な機械を駆使する人々を収めたフィルムだった。他にも原美術館で個展を行ったオラファー・エリアソン等が挙げられる。

ベルリンのアートシーンという切り口からこの展覧会をみると、昨今ミッテ地区のギャラリーやハンブルガー・バーンホフ・ミュージアム等、目にした事のある作品も幾つか存在した。例えば、クレメンス・クラウスやダニエル・フルムがそうだった。

またこの展覧会には、冒頭にも書いたとおり国際都市/多文化都市としてのベルリンという側面もあった。ヨーロッパのみならず、中近東からモナ・ハトゥム、アジア方面に目を向けると、日本からは小金沢健人、島袋道浩が、中国からはワン・フー、クィン・ユーフェン、タイからはリクリット・ティラバーニャ等が作品を寄せていた。それはまさに、ベルリンが戦前ヨーロッパの中心都市のとして栄えた事以上の国際都市として新たに花開く、その様なニュアンスを含んでいるかのようだった。

以上のように、小規模ながらも内容も濃く、バラエティに富んだ充実した展覧会だったように思う。

ANSTOSS BERLIN – Kunst macht Welt

会期:2006年6月22日〜9月17日
会場:Haus am Waldsee
住所:Argentinische Allee 30, 14163 Berlin
http://www.hausamwaldsee.de

Text and Photos: Yoshito Maeoka

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