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ニーブス・ブックス

PLACEText: Nem Kienzle

それでも絶え間なしに世界中から、とくにアメリカとイギリスからポートフォリオが沢山送られてくる。アメリカとイギリス、というのはこの二カ国に最もニーブスの本が分配されているからだ。オーストラリアのマシュー・チャップマン のように、こうやって送られてきた圧倒的な数の応募者の中からコラボが生まれたこともある。


アリ・マルコポロス「Slouching Towards Brooklyn」(ニーブス・ブックス出版)

ニーブス・ブックスでは多数のアーティストを紹介するだけではなく、最初の本が出版されたあとも同じアーティストと本を作り続けることに重点をおいている。オーストラリアのグラフィックデザイングループ、PAMと作った二冊目の本は9月に出版予定だ。

クリエイティブ系だったら誰しもが刺激を求めてニューヨーク、パリ、ロンドン、ベルリンへ移住したがるのに、なぜベンジャミンはこんなスイスの田舎町にニーブス・ブックスを構えているんだろう?ベンジャミンは「チューリッヒをベースにしている素晴らしいアーティストは沢山いるし、尊敬する老舗出版社「ディオゲネス」、「スカロ」、「シモネ」、それから大手出版社Ringierが最近始めたアート部門「JRP|Ringier」もチューリッヒに本社を構えている。ぼくはその一部分でいたい」と言っている。パリに行こうかどうか迷ったこともあるが、慣れ親しんだ街や友人と離れることを考えると決心がつかなかったそうだ。それにチューリッヒだったら流行に左右されることなく個性的な才能を育てる落ち着いた環境がある。


写真家ニコール・バックマンをはじめ地元スタイリストやメークアップアーティストによるファンジン「Stella#5」(ニーブス・ブックス出版)

小さい街から発信しているにも関わらず国際的なところがニーブス・ブックスが注目されている理由でもある。地元のイラストレーターで、Grrrrとして知られるインゴ・ギーツェンダンナーや写真家ニコール・バックマンの作品を紹介しつつ、アメリカ、オーストラリア、日本、ドイツなどからのアーティストもこのスイスで一番小さい出版社から紹介されている。また、ニーブスの本はパリのコレット、ニューヨークのプリンテッド・マター、東京のナディッフなどの世界中の書店やセレクトショップでみかけることができる。

こうやってニーブス・ブックスは新しい想像力を出版し、今となってはその影響は地図上でも芸術的にもどんどん国境を越えている。

ニーブス・ブックス
住所:20 Ankerstrasse, 8004 Zurich
TEL:+41 44 240 0480
post@nieves.ch
https://www.nieves.ch

Text: Nem Kienzle
Photos: Nem Kienzle
Additional Photos: Courtesy of Benjamin Sommerhalder, Joerg Koopmann

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