S.S.ヴァレーホ

PLACEText: Ammon Haggerty

ゴールデン・ゲート・ブリッジの北端ある小さな町、サウサリート。アーティストの集まる地としてよく知られているこの町は多数のハウスボートと長期滞在する外国からのボート民がまざりあうコミュニティのホスト地でもある。ハウスボートの中心にある「S.S.Vallejo」(ヴァレーホ)と呼ばれるフェリーボートはずっとサウサリートのアートシーンの中心にあった。


The S.S. Vallejo

1949年若いアーティスト、ゴードン・オンスロウ・フォードは、船体の金属はガラクタになるはずだった古いフェリーボートに偶然出会った。フォードはそのボートを預かり、彼自身の家として使い始めた。その時、サウサリートは主に産業船の拠点だった。第二次世界大戦中、リバティ船を組み立てるために頻繁に使用された。


Gordon Onslow Ford – Floating Woods (circa 1952)

ゴードン・オンスロウ・フォードは1930年代フランスのシュールレアリズム運動の側にいた。彼のペインティングは特に、点、線、丸の3つの形にフォーカスしていた。長い人生の多くにおいてそれは変わらなかった。フォードは、フランスで出会った風変わりなギリシア人アーティスト、ジーン・バルダと共にボートを買った。バルダはフォードに夢中になり過ぎ、結局フォードはボートを立ち去っていった。


Jean Varda – The Phoenix Reborn (date unknown)

ジーン・バルダはフランスのシュールレアリストシーンと繋がっていたコラージュ・アーティストでもあった。その精神はずっと若く、バルダは自分自身でコミュニティを作った。彼の自家製ボートで贅を尽くしたディナーパーティを開き、湾に浮かぶ彼の家は「踊り子」でいっぱいだった。バルダは価値のない紙と生地のくずを素晴らしい都市景観に変えてしまったのだ。彼は手元にあるものなら何でもアート作品にした。

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