サンド・フェスティバル 2006

HAPPENING


夏に差し掛かる6月のある土曜日、「パラ・サイト」の殺風景なギャラリースペースが、ボーダーを越えたミュージック、アジア中から11のライブ、そしてたくさんのミュージック愛好家たちに、8時間に渡り埋め尽くされる。実験的ミュージックをショーケースする香港初のフェスティバルとして、まず特筆すべき「サンド・フェスティバル」の特徴は、ある4人の友人の物語と「ホワイト・ノイズ・レコーズ」という名の場所にある。

香港では数少ないセレクトショップにある「ホワイト・ノイズ・レコーズ」は、場所であると同時にアイディアである。この銅羅湾に位置する控えめなビルの2階にあるレコードショップの隠れ家を、明白な必需品、魂への燃料としている者たちがいる。主催者の1人、ウィルソン・リーはこの「ホワイト・ノイズ」に約週1回足を運ぶ。『もし他のミュージックを探す気がないなら、「広東ポップ」はどこにでもあるよ。』と彼は言う。

同じ経験を共有する他のフェスティバル主催者達もそれに同意する。何百万もの香港人と同じように、ウィルソン、ジョージ・チャク、エノク・クワン、ギャリー・レオンの4人もカントポップのコンスタントな波に囲まれて育った。幸いにも、この時のラジオが今はファンサイトやファックスでのメールオーダーに発展している。「ワイア・マガジン」やMP3のファイルシェアが出てきた時、彼らはカントポップから派生したたくさんの道を行き来することができるようになった。パール・ジャム、レディオヘッド、ポストロック、メタル、ドローン、フリージャズなどだ。エノクは『ハードディスクが爆発するまで何千もの曲をダウンロードするんだ!』と言う。このほぼ無限のダウンロードにも関わらず、新しいミュージックを探すものにとってその方法オプションはもはやこれだけではない。『それはそれはたくさんのスタイルが「ホワイト・ノイズ」で受け入れられているよ。』とウィルソンは言う。『僕はギターを弾くけど、ここではかつてギターを弾いていた人たちから色んな方法を見つける事ができる。可能性を感じることができる。』

この勢いはレコードやMP3だけでは終わらない。必然的に、新しいミュージックへの意欲はライブミュージックへと導く。『その頃はライブショーなんてほとんどなかった。コピーのビデオばかりでね。』ジョージが振り返る。しかし今は違う。すでに2年の間に「ホワイト・ノイズ・レコーズ」は、ドローン、チャンティング、オーガニックサウンドからパフォーマンスアートまで店内ライブを行っている。ギャリーもまた、過去5年の香港にはインディーズのミュージックシーンに成長が見られると語る。『手作りのCDを出す人が確実に増えているね。以前はここの人たちはミュージックに注目していなかったけど、今は一般の人やメディアにも意識されているよ。』そして、多くのミュージシャンが過去のミュージックに踏み込み、アンダーグラウンドから流行のものまで何でもプラスにする事ができる、と加えた。

これが主催者達の目的の1つである。言わずとも、彼らはカントポップの主権に挑んでいて、しかし同時に野心的にインディーズロックのオルタナティブな本拠地を越えようとしている。このフェスティバルのアイディアは1つ、ローカルで実験的なミュージックのスペースを提供したいという思いから成る。1つ以上のスタイルを取り入れるために入念な選考をするジョージは、『ラップトップ・ミュージックのライブが11なんてちょっと飽きるだろ。』とジョークを。すかさずウィルソンが『みんなには体験以上のことを得て欲しい。11のラップトップセットがエキサイティングだとしても、僕たちはボーダーを壊したいね。』ジョージはまた、エレクトロニック・ミュージックがラップトップによるものだけではないことも示したいとか。

参加アーティストたちはアジア中から集まる。彼らのミュージックに対するアプローチもまた広大だ。シンガポールのアン・ソン・ミンは、観客がプラスチックのボールを叩いて演奏するマルチプル・ギターをセットアップ。香港のセドリック・マリデットはイメージとサウンドの関係を探求。香港のニュー・フェアフィールド・パークス&レクリエーション(NFPNR)はアーバンサウンドを「崇高な不協和音」(ある評論家より)に変える。ゼンルーは中国本土の新しいクリエイティビティを先駆けてきたアブストラクトなエレクトロニックを考案した。またアーティストの中には、彼らの故郷ではきわどいミュージックをプロモーションする者も。マレーシアのイエオ・イン・ピンは、実験的でクリエイティブな作品をカバーしたいくつものレーベルを運営している。

新しいミュージックのこの夜は、それに先駆けて行われるモントレアルのデュオ「セリポップ」による一週間のポスターエキシビションを伴う。ジョージは、モントレアルでシルクスクリーンを独自のスタイルで展開する彼らにフェスティバルに参加するよう声をかけた。セリポップは彼らの音楽への情熱を彼らのポスター、アルバムカバーに具現化する。それと同じように「サンド」もサウンド、アート、ノイズ、ドローン、そして中国語の歌詞にて具現化する。

4人にとって、フェスティバルは終わりではない。ジョージは、志を同じくするミュージシャンがコラボレートできるプラットフォームを最小の資源で提供することが意図であることを説明する。『この先、もっとフェスティバルをやりたい。コラボレーションに活気が欲しいね、ただ人がショーに参加して去るというだけでなく。』

『香港の僕たちはこのDIY(Do it yourself)を持っていない。』過去数年で「ホワイト・ノイズ」を通じて知り合ったこの4人、香港の初めての実験的ミュージックフェスティバルをまとめ、ポケットマネーとミュージックへの熱意で財源を賄う彼らに、この言葉は反論されるかもしれない。「サンド」が来る。確かなスピリットと共に。


SAND Festival 2006 (Hong Kong)

日時:2006年6月24日(16:00〜)
会場:Para/Site Art Space
住所:香港上環普仁街4號地下
問い合わせ:sandfesthk@gmail.com (+852) 9689-1299
入場券:whitenoise@netvigator.com (+852) 2591-0499
主催:エノク・クワン、ジョージ・チャク、ウィルソン・リー、ギャリー・レオン、ホワイト・ノイズ・レコーズ

Text: Kat Lo
Translation: Yurie Hatano

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