NIKE 公式オンラインストア

トーキョー・ライブペイント・オープンセッション「フオーヴァ」

HAPPENINGText: Yoshihiro Kanematsu

ゴールデンウィーク終盤の5月6日、渋谷のギャラリーコンシールでライブペイント・ショーケース「HUOVA」(フオーヴァ)が行われた。中国語で「たいまつ」を意味する「フオーヴァ」の名が与えられたそのイベントは、クラブシーンを彩る「最速」の称号を争う東京発のライブペイント・ショーだ。

ペインターが選んだバンドやDJの音をバックに、一人持ち時間20分という研ぎ澄まされた時間の中で吐き出されるナマのアウトプット。まだ2回目ながら、すでに目が離せなくなったリアルな表現のムーヴメントを再びレポートします。

絵を描く人としての横顔がいつも心に残るQUESTA、自然美をグラフィカルにトレースするSAL、今回のラインナップを見ても、いやおうなく期待感は高まっていた。ちょっと用事があって駆けつけたときにはもうその二組が終わっていたから、残像としてのウォールペイントを見て、悔しさみたいなものがこみ上げたのが正直なところだ。ただ絵を鑑賞するのと違うこと。だからこそ次からの3人を、必死に追ってみようと思った。20分のせめぎあいの中で、いったい何が飛び出してくるんだろう?

<

登場したのは 松岡洋太 a.k.a JONJON GREEN!最近よく描いているというちょい現実離れした動物がここにも登場する。確かな筆さばきのこなれた感じの造形に『上手いなあ〜』と見とれていると、突如として牙をむくように黒いペンキで殴り塗った!『ここでしかできないことをやりたかった』という言葉通り、でき上がりだけを見ただけでは絶対に伝わらない、秩序とカオスへの欲求が交錯する20分を魅せてくれた。

4番手はKAZ。1回目のイベントで一発目を張ったsenseくんたちが音を奏でる中、リズムに合わせてチラチラとバンドの方を見やりながら、スッスッと筆を進めていく。プラグとケーブルはつながって、音の動きが縦横無尽にかけめぐる。『20分はちょっと短かったかな。』と言いながらも壁一面に残っていたのは、音と絵が幸せにグルーヴしてでき上がったシンクロナイズドなドローイングだった。

トリは、エンリコくん aka OEIL。スタイルをバッチリキメながらも、いつも以上に輪郭に荒々しく向かい合っている気がしたのは、今日のイベントの気分?とか勝手に思った。『どうだった?』と聞くと、『今回はかなりライブっぽい感じが出てたと思うよ。』という返事が返ってきた。それは僕も、同時に感じていた。10分でも30分でもない、20分という刻みが用意する「ライブっぽさ」。それは、こういうの描こうかなと決めてかかる戦略と、手が止まらないそこでしか描けないあの感じとの葛藤を浮き彫りにする、絶妙な間合いなのかもしれない。

やがてギャラリーはバフされて、ホワイトキューブに戻っていく。今やもうその葛藤の残像はどこにも存在しない。最速の称号を求めて今日もまたかれらは、東京のどこかで絵を描いている。

Tokyo Livepaint Showcase HUOVA Round 01
日時:2006年5月6日
会場:ギャラリーコンシール
住所:東京都渋谷区道玄坂1-11-3 富士商事ビル4F
協賛:ポーターズペイント
https://www.renovationplanning.co.jp

Text: Yoshihiro Kanematsu
Photos: Yoshihiro Kanematsu

【ボランティア募集】翻訳・編集ライターを募集中です。詳細はメールでお問い合わせください。
MoMA STORE