ホームレス・サッカー・ワールドカップ

HAPPENINGText: Gisella Lifchitz

ダミアンは何年間もリポーターとして働いた経験のある、アルゼンチン人のジャーナリストでありフィルムメーカーだ。テレビやブロードキャストのために政治や社会問題を調査をしたり、地元の映画制作にも携わっていた。

彼は非常に高いプロフェッショナル意識を持つ反面、また親しみやすい青年でもある。気取らなく、しゃれを持ち合わし、地元独自のユーモアを使い選手達と仲良くやっていった。

映画の中だとダミアンは選手達の一人のように見えるが、それ以上に彼は教師、通訳またガイドでもある。ホームレス達の人生の証人になり、グループの中で沈黙のメンバーとなった。彼らと共にするこの旅は責任さえも感じはじめていた。

離陸時間がきたとき、毎日ホームレス達との関係を築くじゃまをしていた他の映画スタッフなしで、ダミアンは選手と共に独りになることを決心した。みごろ彼の行動は成功し、彼らはダミアンを受け入れ輪に入れてくれた。

このアルゼンチンチームはトーナメントの勝者ではないが、ある意味、勝利者である。我々にとっては選手みんながマラドーナだ。彼らの幸せや期待、飛行機に乗ることの恐怖、幼稚な案内の必要性、女の子をナンパすることを感じ、全てにおいて勝ってもらいたいと思う。それができる人間ということを我々は知っている。映画では彼らの空想の世界への旅となっているが、ほんの少しの間はこれが現実の世界だ。

本作は、ブエノスアイレス・インデペンデント映画祭で特別上映され、またスウェーデンのヨーテボリで開催された国際映画祭に出品した。そしてまさに今ダミアンは、ジバラ・プアー映画祭でのコンペティションのためにキューバにいる。

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