AER

PEOPLEText: Julio Cesar Palacio

AERは、2002年スペイン、バルセロナに設立された新しいビジュアル・コミュニケーション・スタジオだ。AERの専門は主にインタラクティブ・メディアだが、それ以外に多様な分野の仕事を請け負ってきた。

ユーザーの経験に基づいて機能する、非慣習的なウェブサイトから、事務的事項に忠実でよりスタンダードな会社向けの物まで、設立依頼幅広く扱ってきた。これまでで最も特出した点というと、最小限の制約で仕事を成し遂げてきたことにある。総じて、AERの美意識は風潮やトレンドの吹き溜まりではなく、コンセプトやアイディアによって正当化されたものだ。

フランス、パリのレーベル、アクティブ・サスペンションのミュージシャン、ドモティックのサイトは、無料のプロジェクトだった。簡単にいうとAERは、彼の音楽が気に入ってウェブサイトを無料で作ることを申し出た。つまりこれは、AERとステフ・シリオンとのコラボレーション・プロジェクトということだ。ビデオから持ってきたフレームをトレースしたり、はさみで切り抜いたり、大量のスキャン、そして口でのアナログ効果音レコーディングなど、このサイトの創設の大部分はマニュアル作業だった。

ヒューマン・テレビジョンはフィラデルフィアのジャイアンティック・ミュージックのミュージシャン。AERは次のニューヨークでのコンサート用ポスターの作成を申し出た。ポスターを作るプロセスは理論的にはバンドが音楽を作るプロセスを模倣した。つまりは切り取り、貼り付け、複写、レイヤーなどで、プロセスを隠すことはしなかった。汚れ、マスキングテープ、スキャナーベッドなど、いわゆる不完全と思われる物は全て見えるように残した。

P-pi.orgは、バルセロナを拠点にするアクセサリーデザイナー、クリスティーナ・パニアグアの為のウェブサイト。2005年このサイトは最優秀プロモーションサイトとしてラウス・ゴールドを受賞した。プレミオス・ラウスはスペイン、バルセロナでADG-FAD(アートディレクター、グラフィックデザイナー連合)が主催する年に一度のコンテストだ。

ヒロシ・ツノダ・デザイン・スタジオのサイトでの第一目標は、ヒロシ・ツノダのデザインを完全に主役にした、ビジュアル的にインパクトのあるウェブサイトを作ることだった。また、ウェブサイトに人の手が加わったということや、大量生産や工場的なコンセプトとは一線を画すという証拠を残すのはとても重要なことだった。ヒロシ・ツノダのデザインは彼一人で成され、しばしば個々特有の物だ。最終的な目標はシンプルで使いやすく、そして内容が分かり易いと言うことだった。

AERの目的は人をひきつける様なコンセプトを基にしたプロジェクトをリードし、発展させることだ。彼らは非営利的なプロジェクトを続ける余地を残しつつ、小さめで本質的な構造で新たな仕事を選ぶ自由を維持するようにしている。

AER – comunicacion visual
住所:105 Zamora, 2-1 Barcelona
TEL:+34 933 001 678
info@aerlab.com
http://www.aerlab.com

Text: Julio Cesar Palacio
Translation: Yuki Furusho

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