愛知万博「愛・地球博」

HAPPENING

1970年の大阪万博から、早35年が過ぎた。そして今、愛知で開かれている万博「愛・地球博」。会期185日の中間点に近い7月9日、梅雨の合間の快晴に取材を試みた。
過去の万博とは一線を画す、多くの試みとは?そしてメッセージとは?


この万博は隣接する長久手会場と瀬戸会場の2ヵ所で行われているが、各国のパビリオンが集結する長久手会場を今回は巡ってみた。
「自然の叡智」がテーマの基、自然と人類の関わり、脱開発、エコロジーとアメニティーの両立など、たくさんの問題提起がなされた、21世紀最初の記念すべき万博と言っても過言ではない。
また120カ国・4国際機関が集う、祭典としての喜び・楽しさ・感動を味わえるのも、万博ならではであろう。

リニモという愛称のリニアモーターカーで万博会場駅に到着した。入場して、すぐに目に付くのが木をふんだんに使用している通路やグローバルループ(空中回廊)。景観を損なわない調和のとれたパビリオンが、グローバル・コモンというエリアごとに配分され、森や池などの間に点在していて、美しい空間を演出している。

この手付かずの自然を取り込んだ、広くて起伏の富んだ会場内には様々な移動手段が用意されている。先ずはグローバルループ(空中回廊)。

周囲約2.6km、高さ10数メートル、ほぼ水平に作られており、ビーチやヨットハーバーにあるボードデッキをワイドにした感じで、頭上のシェードからはミストが降り注ぎ、この日の最高気温32℃の状況下では、うれしい設備だった。

両側は徒歩での移動、トラムや自転車タクシーがセンターを通る構造になっている。その他、IMTS(バス)・ゴンドラ・エスカレーター・エレベーターなど、多種多様だ。これらのビークルは全て、燃料電池などクリーンなエネルギーを使用していて、この万博に則したものになっている。

先ずは何と言っても、マンモスだ!万博会場駅(北ゲート)を入ってすぐのゴンドラ北駅から、ロープウエイを乗りロシア館へと向かった。入ると眼前にドーンとマンモス実物大の骨格標本が。あまりの大きさと迫力に驚いた。しかし、その興奮が少し冷めてくると、「なぜ今、マンモス?」という疑問が沸いてきた...
他に永久凍土から出土したマンモスがマンモスラボに展示してあり、万博の目玉になっているが、近年、加速度的に寝食されていく永久凍土の中から、時折マンモスが発見されると云うではないか。他でもない、地球温暖化のせいだ。彼らの声なきメッセージに人類はどう応えるのか?姿形だけでない、とても大きくて重い課題を突きつけられた。

その他、ロシア版スペースシャトルなどの宇宙技術の高さが目を引いた。人気パビリオンなので、待ち時間30分の入館だったが、期待に違わず見応えがあり、またこの地球(ほし)の現状を否応が無しに考えさせられた。

一つのパビリオンを2分したフランス館とドイツ館では、観覧はフランス、ランチはドイツレストランで、とした。

さすが芸術の国フランス、お洒落な外観と展示物、そしてシビアな内容の映像だったが、センスが光っていた。天井と壁4面を使ったイマージョンシアターは、迫力と鋭い問題提起で印象深い。地球温暖化・乱開発による自然破壊・消費とゴミ問題など、私達が直視しなければならない事を訴えていた。

オーストラリア館の目玉は巨大なカモノハシ。子供達に大人気で一様に皆、記念写真を撮るなどして賑わっていた。約6万5千年前から命を繋いできていて、最古の哺乳類の一つだそうだ。

隣の展示スペースでは何本もの高い柱に、LCD(液晶ディスプレイ)を埋め込み、雄大で美しい自然や文化などを、最新技術を駆使して、サウンドと共に楽しく観せていた。

夕涼みをしながら、のんびりと南太平洋館を覗いてみた。大きな木彫りの帆船が展示してあり、その横でくつろぐ現地の人々を観ていたら、海のような大らかで明るい人柄が伝わってきた。

世界のグルメを賞味できるのも、楽しみの一つだろう。コーカサス共同館では、ヨーグルトとバラのアイスクリームで、興奮と猛暑でヒートアップした脳と体をクールダウン。

夢中でパビリオン廻りをして、すっかり遅くなってしまったランチを、雰囲気も本場さながらのドイツレストランで頂いた。
お約束のソーセージ・マッシュポテトとポークソテー・マッシュルームの盛り合わせに、舌鼓を打ちながら、思わず笑みがこぼれた。休みながらゆっくり食べている途中、デジカメの画像をチェックしていたら、ドイツ青年のウエイターが英語で話しかけてきた。『Oh, It’s good! Nice!』 僕はすかさず『danke schoen !』唯一知っているドイツ語である。

いよいよ一日の終わりにふさわしい、イベントの時がきた。こいの池で繰り広げられる水上パフォーマンス。スノーモンキー(ニホンザル)をメインキャラクターに、初めは楽しく愉快に世界の名所や遺跡をウオータースクリーンに映し出していき、次世代を担う赤ちゃんと宇宙飛行士も登場した。やがて美しいサウンドと共に、親子三代のサルたちが、過去・現在・未来を表現する場面に変わり、フィナーレへと...
シンセサイザーが静寂を演出し、右手から白鳥2羽と、その間にかがり火を炊いた漁師舟が、鏡のような水面をゆっくりとスノーモンキーの眼前を進みゆく。それを見届けたスノーモンキーは安心したような表情を浮かべ静かに沈んでいき水面から姿を消していった...。侘び・寂び ここ日本の、和の世界を見事に表現したパフォーマンスに感動しつつ会場を後にした。

愛知万博「愛・地球博」
会期:2005年3月25日〜9月25日
会場:愛知県 長久手会場、瀬戸市会場

Text and Photos: Photoperformer Pas

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