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ノーマ・トラヤ

PEOPLEText: Naoko Fukushi

どの作品も応募作品の中では異質で際立っていました。中でも印象的だったのが「Self Portrait」という作品だったのですが、これはご自身ですか?

はい、そうです。外見を全て出さずに、自分がどういう人物かを見せるような何かを作りたいと思っていました。どのようにして自分を面白く見せ、私がまじめ人間ではないのだということを表現しようかと考えて作りました。周囲の人は私のする仕事を見て、とても生まじめだと思うようです。だからもっと気楽で現実味のあるものを作りたいと思いました。この作品には様々なリアクションがあり、ある人は恐怖を感じ、またある人は悲しみを、私を個人的に知る人は可笑しいと感じるようです。


Self Portrait

応募作品以外で今までに制作した中でお気に入りの作品を紹介してください。

「SHACK」という作品です。平面画を切り替えられることで空間を構成しているところが気に入っています。スチュアート・ヒルトンの「6 Weeks in June」という映画を観たことがあって、それが印象的で、自分の作品でも試してみたいと思うところがありました。ポンプから水が出てくるアニメーションがとても気に入っていて、私にとってこのアニメーションは完璧です。このアニメーションが12枚のドローイングで構成されているというのもすごいでしょう?モノクロでとてもシンプルだけど、味がある。このような作品をもっと作りたいと思っています。


Shack

インスピレーションはどこから得ていますか?

音楽を聞いたり、空想にふけったり。ばったり出会った新聞や本の一節や、人が言った言葉からインスピレーションを得ます。よく、ある歴史的な出来事や物、コンセプトに魅了されて、それを徹底的に調べてしまいます。コミックもよく読みます。学校に行ってよく観ているアニメーションにも最近影響を受けています。

今月のカバーを制作していただきましたが、どのようなコンセプトで制作されたのでしょう?

最近の私の頭の中にあるアイディアやビジュアルがベースです。今はとてもクロゴケグモの雌(猛毒を持つ蜘蛛で、体長は雄の数倍の大きさ)のイメージにとても興味があります。最近、クロゴケグモの雌が、自分の関心事のために略奪したり誘惑したりして生きる女性の象徴物として使われている絵画や本、映画、タトゥーに出会いました。実際、クロゴケグモの雌は交尾のあと雄を食べてしまいます。そこで私は、クロゴケグモの雌と人間の女性のイメージを重ねて、砂漠に建つ家の外で頭を軸にクモのようにぐるぐる回る女性を描きました。光の灯った遠くの家の中から、この光景を見る小さな人かげが、見せ物のような感じを出している。そして看板にはSHIFTという案内があります。

進行中のプロジェクトや今後の予定について教えてください。

今は2つのプロジェクトを進めています。両方とも短いアニメーションです。一つは、短くて、自由で分かりやすいストーリーのものです。1カ月後半くらいには仕上がりそうです。もう一つは、もう少し長い作品で、1年後くらいに完成しそうです。2〜3ヶ月間勉強と仕事を休んで、そのプロジェクトを一気に片付けて、ゆっくりしたいと思っています。

最後に読者にメッセージをお願いします。

どんなに小さくてばかげているように思っても、作品を作って、完成させて、それを人に見てもらう方法を見つけてください。この言葉は、何年か前に誰かに言われて私の心に残っています。

Text: Naoko Fukushi

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