オーディオビジバ

HAPPENING


オーディオビジバ」は、ミラノ・フィルム・フェスティバルの1つのエリアで、エレクトロニカとビジュアルがリアルタイムで繰り広げられた。今回はプラッドマウス・オン・マーズなどの名前を列ね、これまで開催された中で一番のラインナップだと思う。それぞれのライブは、ミュージシャンとビジュアルアーティストとのコラボレーションだった。

マウス・オン・マーズ(以下MOM)のライブは、街の中心に位置する城の掘で行われ、彼らは、テクノ、ハウス、ドラムンベース、ジャズ、ダブ、ヒップホップをまるでしゃっくりのようにミックスし、フェスティバルのスタートを切った。スリルジョッキーからリリースした最新アルバム「ラディカル・コネクター」を披露し、彼らは観衆を虜にしていたが、私はと言うと、少しがっかりした。

もしあなたがMOMの特徴であるエクペリメンタルなライブを想像していたら驚くかもしれないが、私がそこで耳にした彼らの最新アルバムは、よりオーソドックスな4つ打ちのハウスのノリだった。おそらく観客が次のステップを予測できないようにしているのだろうが、実際彼らのライブはそんなに予測不可能なものだっただろうか?MOMらしさは残していながらも、彼らの“有機的”なアプローチが失われ、他大多数のエレクトロニカと同化しつつある。ミラノでプレイされたライブを見て、これまでに見た様々なライブを思い出したが、結局彼らのライブは“そのうちの1つ”になってしまった。ロサ・バルバのビジュアルは、ゴーカートにくくり付けられたマネキンが地面に衝突(しかも衝突の度に頭がカメラにぶつかる)するという、不穏でパワフルなイメージをはじめ相変わらずの憂鬱さだった。

しかし、私はこのライブが記憶に残るようなものではなかったと言いたいのではない。(考えようによっては、もちろんそうとも言えるのだが。)ただ私は、もっとエクスペリメンタルな音楽を期待していたのだ。エネルギーに溢れた素晴らしいプレイは確かに魅力的なものだった。しかもこんな良い雰囲気の会場とくれば、おそらく忘れられない一夜と呼ぶ人も多いだろう。私も何曲かの催眠的なグルーブに酔いしれて1時間以上聞いていたのだが、やはりダンスフロアを引き裂く観客たちを見ていると、ライブ自体は昔っぽさを思い出させるようなものであるのに、ダフト・パンクやトーマス・ブリンクマンの作り出すような熱狂が観客に感じられなかった。この2組のアーティストがMOMといったいどういう関係があるのかと反論したい人もいるかもしれないが、私がこのライブで得た印象は、彼らはただ以前と同じようなレベルの興奮をもたらすことができなかったということだ。それにも関わらず、観客はかなりこのライブを楽しんでいたように思う。たくさんの人々に見られる笑顔がそれを物語っていた。

さて、土曜日の夜に行われた(このフェスティバルのラインナップのベストとも言える)プラッドのライブについて語らずに、このレポートを締めくくることはできない。この2人組は、メランコリックでありながら生き生きとしたメロディーの美しい楽曲で1時間を駆け抜けた。とてもWARPらしいエレクトロニカとBOBによる素晴らしいビジュアルだった。リアルタイムで生成されるぼんやりした色の形を使ったサイケデリックなトリップから、東京の地下鉄駅から巨大なタータンチェック柄のような建築物の細部が広がる画面へ、城壁を飛び越えて超スピードで移動する映像など、以前見たことのあるものもいくつかあったが、どれも素晴らしいアイデアの作品だった。BOBは多くの観客の視線を虜にしたことだろう。少なくとも私を虜にしたのは言うまでもない。

TDKオーディオビジバ・フェスティバル
ミラノ・フィルム・フェスティバル
会期:2004年9月10日〜19日
会場:Piccolo Teatro, Castello Sforzesco他
http://www.milanofilmfestival.it

Text and MOM Photos: Roberto Bagatti from Bacteria
Photos: Simonetta Mennea and Roberto Bagatti
Translation: Naoko Fukushi

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