RES 10

HAPPENINGText: Rei Inamoto

数週間前、「招待客のみ」というメールが送られてきた。デジタル・フィルムメイキング・マガジン、RESからだった。今では、RESはデザイナーやインデンペンデントなフィルムメーカー達の中で良く知られている名前だ。何年もの間、RESはデジタルフィルムフェスティバル、レスフェストを成功させており、ローカルをベースに始まったこのフェスティバルは、今はロサンゼルス、ニューヨーク、サンフランシスコから東京、メルボルン、ケープタウンへと世界ツアーをするまでになった。

数年前に、RESはマガジンの中で「RES 10」という特集を始めた。それは、RESが12か月以内に活躍を遂げると信じる10組のアーティストグループを選ぶ特集で、私がメンバーの一人でもあるトロニック・スタジオも、昨年の「RES10」に選ばれた。

最近、RES10のセレクションは、フィルムメーカーやデザイナーだけでなくイラストレーターやグラフィティやインスタレーションのアーティストも含み、そのジャンルの幅を広げている。

私が受け取った「招待客のみ」というメールは、ニューヨークのアート・ディレクターズ・クラブでRES主催で開かれるパーティーのものだった。このイベントは、今年の「RES10」を発表するもので、会場には沢山のデザイナー、フィルムメーカー、ミュージシャンなどが集まり、盛り上がった。今年のセレクションは、良い意味でだが、意外だった。10組のアーティストの中で、ほとんど半分はすでに知っていたり、聞きたことのあるアーティストが選ばれていた。もうご存じの方もいるとは思うが、そのアーティスト達をご紹介しよう。

ルーベン・フライシャー、クンツ & マグワイア、プレックス、デイビッド・エリス、マシュー・ディア、モーション・セオリー、コジーダン、アンテナ、エレン・アリー

この中で私が一番好きなのは、バーンストーマーズの中心的人物である、デイビッド・エリスだ。 彼が昨年のリストに入っていなかったのが不思議だ。その時はすでに過去数年にわたって、メディアから注目されていたのだ。おそらく彼の作品で最も知られているのは、2002年のナイキ・プレストのキャンペーンだろう。それは、バーンストーマーズのメンバー達がグラフィティを描いていく様子を撮影したコマーシャルで、その作品とナイキとがどう関係あるのかと首をかしげる人も多かったが、作品自体は新鮮でクールなものだった。

私が初めてバーンストーマーズの作品を見たのは、バーンストーマーズのメンバーの一人をボーイフレンドに持つ同僚を通じてだった。ある日、彼女は、「乾燥したペンキを見る」というタイトルがついた “動いている” 絵のビデオを持って来た。アイディアはとてもシンプルだったが、とても引き込まれるものがあった。様々なグラフィティアーティストが、お互いの作品の上にまたグラフィティをしていく様子を映したもので、カメラは天井に付けられており、アーティスト達は床で作業をしている。カメラは完全に固定されており、動いているのはアーティストと彼らの描く作品だけだ。この作品は、完成形というものはなく、その過程自体が作品なのだ。従来の感覚では、これはフィルム作品として考えられないかもしれないが、何が “フィルム” あるいは “ペインティング” なのかという、新しい視点を提示している。

「RES10」には、今後もこのようなアーティストをフィーチャ−し続けていってほしいと思う。

RES 10 EXHIBIT + PARTY
日時:2004年4月30日
会場:Art Directors Club
住所:106 West 39th Street, New York, NY
res10NYC@res.com
https://www.res.com

Text: Rei Inamoto
Translation: Naoko Fukushi
Photos: Rei Inamoto

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