MOMA・イン・ベルリン

HAPPENINGText: Kristy Kagari Sakai

2月の終わり頃から、ベルリンの一角で不思議な光景が見られるようになった。朝から晩まで、大勢の人たちが一列になってガラスのビルを囲んでいるのだ。人ごみも少なく、街路があまりにもがらんとしていて時が止まって四次元ワールドにおいていかれてしまったかと思うこともあるこの街で、役所と安売りスーパー以外で行列を見ることは実に奇妙だ。その原因は?ピンクのサインに書かれている、「Das MoMA in Berlin」。

ニューヨーク現代美術館(MoMA)で大掛かりな修繕と増築が行われているため、世界一の現代美術コレクションが開放され、海外へと飛び立った。その内、200点あまりがベルリンにとどまり、7ヶ月間滞在することになった。ベルリンとは1920年代にMoMAの初代館長、アルフレッド・バーが訪れ、その当時の美術館や現代アート・コレクションからMoMAを創立するにあたって色々学んだ街だという。

今回の開催場は他でもない、ミース・ファン・デル・ローエ設計でガラス建築の代表的な新ナショナル・ギャラリーである。ここで繰り広げられるモダニスト美術と建築の歴史的、人間的(バーはこのバウハウス建築家にマンハッタンの美術館の設計を頼みたかったらしい)そして美的結合は印象深く、展示されている名作達は実にすばらしかった。

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