エンジェル・ファッション・マーケット

HAPPENINGText: Sari Uchida

ロンドン北東部エンジェル地区に、最近新しいファッション・マーケットが誕生した。5月7日に始まったこのマーケットは、毎週金曜日、正午から午後8時まで開催する。取扱うのは個人のデザイナーやメーカーたち。

主催者は、自身も帽子デザイナー&メーカーであるバーバラ・スチュアート。彼女の経験から、知名度の高いマーケットで最近富みに安物のインポートグッズや大量生産品や「ギフト」用クラフトグッズがまん延していることにへき易し、きちんとしたデザイナーによる商品を置くマーケットがあれば、という思いから誕生させたのが、エンジェル・ファッション・マーケットである。


日常着からイブニングウェア。コート、ポンチョからアクセサリーまで。常に最先端を意識しているが、それでいて着心地の良い作品ばかり。

エンジェル・ファッション・マーケットが開催される場所は、毎週水・土曜日にアンティーク系ショップが出店する。最初は昨年のクリスマスまで月1回の割合でトライアル開催していたが、客の反応から需要が高いことを確認、5月からは週1回の開催となった。エンジェル地区はほんの10年前までは荒んで貧乏な「未開発エリア」だったが、その後発展し、今では若者に人気の街に様変わりした。長い長いアッパーストリート沿いにはトレンド系ショップやレストランが並び、デザインおよびファッション感度の高い人たちが集まる。このファッション・マーケットは、仕事の後に友達と会ってパブで一杯する前にちょっと立ち寄って新鋭デザイナー作品を手に入れるにはもってこいの場所にある。

主催者側も、大量生産ではなく各デザイナーの独創性を重視するのが狙い。始めた当時は、質が高くて優れた作品を作りだす才能がこれ程埋もれていたとは、予想だにしていなかったと言う。また、デザイナーの多くは、買い物客の要望に合わせてテイラーメイドで作ってくれるのも特徴的だ。


すでにハイストリート・ファッション界にレーベルを持ち、成功しているレベッカ・ジェイだが、ここでは女の子らしいグッズをつくり、置いている。コレクションには「50年代風の」ドレスやポルカドット模様のバッグなどがある。

参加デザイナーは、ジュエリーのジュリー・エリス、ニットのステファニー・サトン、フォトイメージをプリントしたTシャツを作るアレックス・マキントッシュ、デニムやブロケード等ファンキーな素材でオーダーメイドのコルセットを作るメアリ・モリスをはじめとする約20名。

チープなギフトや輸入品は置かず、あくまでも個人デザイナーとメーカーにこだわるエンジェル・ファッション・マーケット。まだ誕生したばかりだが、今後どのような新しいデザイナーを生み出し、雨後のタケノコのごとくあちこちで誕生するマーケット業界でどのような波を作り出して行くのか、注目される。

Angel Fashion Market
時間:毎週金曜日 12:00〜20:00
住所:Unit 1, 51 Calthorpe Street, London
TEL:+44 (0)20 7278 8306

Text: Sari Uchida
Photos: Sari Uchida

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