サイマン・チョウ

PEOPLEText: Naoko Fukushi

香港生まれ、アメリカ育ちのデザイナー、サイマン・チョウ。最近ではナイキのプロジェクトを手掛けるなど、活動の幅を大きく広げている。様々な文化に触れながら育ったという彼の作品には、色濃くその影響が表れているようだ。そんな彼のルーツを探りながら、お話を伺った。

>まずはじめに、自己紹介をお願いします。

サイマン・チョウです。香港に生まれ、15歳の時にアメリカへやってきました。アート・センター・カレッジ・オブ・デザインでイラストレーションを学び、2000年に卒業しました。現在は、モーショングラフィック、イラストレーションなどを中心に活動しています。過去には「UNITEDBREAD」を他の3人と設立しました。今年中にそのウェブサイトをリニューアルさせる予定です。現在はフリーランスとして活動しています。

現在の主な活動内容を教えてください。

ちょうど、「NIKE」のキャンペーンの仕事を終えたところで、6月にDVDでリリースされる予定です。また、「ESL」という新ブランドのデザインも手掛けています。ESLとは“English as a Second Language”の略なのですが、それがショップの名前です。ESLでは、洋服、おもちゃ、アクセサリーを、オリジナルデザインで展開しており、様々なアーティストにデザインされた製品を扱います。ショップのオープンは5月で、それまでは僕のサイトでTシャツの一部を販売する予定です。他にはフリーランスで、編集や映像の仕事もしています。

香港に生まれ、現在はロサンゼルスに住んでいるということですが、その両国での経験が作品にも影響していますか?

かなり大きな影響を受けています。香港はとてもユニークな街です。イギリスの植民地だったこともあって、人はかなり西洋化されていながらも、日本のポップカルチャーが盛んで、また同時に中国の特徴も色濃く残っている。僕が子供の時は、身の回りにあるもの全てが日本のもので、ドラえもん、 Dr. スランプ、Qちゃんなど、日本のアニメやマンガ、テレビゲームと一緒に育ちました。香港の子供はみんなそれが大好きです。そのため、僕の初期の作品は日本のポップカルチャーの影響を強く受けたものでした。その後、アメリカでの生活が長くなり、自分が絶対に好きになることはないと思っていた、サイケデリック、アーキグラム、田名網敬一など、60年代の様々なグラフィックアートに次々と出会い、刺激を受けました。様々な文化的経験から得たものを、作品に生かすことができる環境にいたことに感謝しています。

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