NLF マガジン

THINGSText: Simone Biffi

僕がイタリアから、毎日眩しいくらい天気の良いポルトガルに越して来て、まだ1ヶ月弱。このようなときに、大抵最初に考える事は、新しい見知らぬ街で、どこへ行って、何を見ようということだろう。特に、南ヨーロッパでもっとも面白くて、カラフルな街の一つ、リスボンということであればなおさらだ。

インターネットで何かイベントがないかと探し始めて、約5分後、興味深いポルトガルのオンラインマガジンを発見した。そのマガジンは、リスボンを拠点とする、数多くのデザイナーやアーティストを紹介している。僕は、このマガジンのオーナーである、パウロ氏にコンタクトを取り、このプロジェクトやポルトガルのデザインシーンについて、話を伺う事にした。

NLFプロジェクトについて教えてください。

NLFは、新たなデザインの可能性を広げていくことを目的としたオンラインマガジンで、アーティスト、デザイナーなど、ウェブデザインの世界で活躍する人達のために、アーティストの革新的な作品を紹介しています。今、クリエイティブな人達が、オフィスでの仕事に限界を感じてきているときなのではないでしょうか。NLFは、ルールを破る事のできる、実験的な遊び場でありたいと考えています。アーティストには、表現の自由を与えて、コンセプトはシンプルに保つことを大切にています。NLFは、誰もが喜びを得る事のできる、真っ白なページのような存在でありたいと思っています。

NLFは、ポルトガルで最も興味深いデザイナー達に、作品を発表する機会を提供しつつ、プロモーションをしていますね。しかも、とてもかっこよく。制作はどのように行なわれ、送られてくる作品はどのように選ぶのですか?

NLFはリスボンだけではなく、ポルトガル国内、国外問わず、デザイナーのプロモーションをしています。型にはまったアイディアではなく、異なる角度からのデザインアプローチを大切にしています。僕達は、次の号の雰囲気に作品が合っているかどうか、また技術的な面とアーティスティックなスキルの両方をチェックしますが、技術的アプローチに重点を置いてしまうような、機械的な判断より、フィーリングを大事にしています。こうすることで、NLFが常に良くなり続けることができるような、もっと細かい部分にまで気を配る事ができると考えています。

一般的に、ポルトガルのデザイナーが、興味深いものを制作しているにも関わらず、国際的なデザイン誌で取り上げられるのは難しいと思いますが、それについてはどうお考えですか?また、ポルトガルのデザインシーンについて何か意見を頂けますか?

今ちょうど、何か新しいものが大きくなりかけているところだと思います。ポルトガルのデザインシーンに新しいアイデンティティを持たせることに、多くの人が注目しています。ムサ・コレクティブのようなプロジェクトや、ウェブをベースとした数多くのプロジェクトが、国際的なデザインシーンで、興味深いコンタクトを得る可能性を広げるような、影響力のあるネットワークを育てています。ポルトガルは、新しい「ポルトガル」というアイデンティティのもとで、クリエイティブな活動をする人達の大きな可能性を秘めた、小さな国です。

現在、NLFはオンラインのみですが、オフラインでの発行が可能な出版社を探しているそうですね。他の雑誌との差をつけることについては、どうお考えですか?

NLFのオフラインは、他の多くのウェブベースのデザインマガジンのように、定期的に発行するのではなく、いくつかのオンライン版を一つにまとめて出版する予定です。また、NLFをより良いものにするために、またエディターが、オフラインで提供できるように、僕達はもっと多くの作品のサブミッションを受け入れたいと思っています。僕達が、本当に良いと思ったものを紹介し、出版する事で、他の雑誌と差をつけることができれば、と思っています。

Text: Simone Biffi
Translation: Naoko Fukushi

【ボランティア募集】翻訳・編集ライターを募集中です。詳細はメールでお問い合わせください。
MoMA STORE