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キオスク・ショップ・ベルリン

PLACEText: Kristy Kagari Sakai

2001年の10月にオープンしたこのショップは、今までに1000以上の「プロダクト・スカルプチャー」を置いてきた。ほかのギャラリーのようにスポンサーを探さず、これらの「商品」の売上を通して営業をするというのが彼のコンセプトの一部。そのために生み出されたシステムがいわゆる「分割払い」。20ヶ月間まで支払いの引き延ばしを可能にすることによって、若い人や初心者も手が伸ばせるアートになるという。

現在の時点で25名ほどこのシステムに参加しており、商品が買われていくとともにショップの品揃えも変化していく。パッケージングのちょっとした工夫や宣伝のアプローチなどによって、日常商品がその時代を象徴しているという事を見逃しがちな今、「プロダクト・スカルプチャー」はそのツァイトガイスト(風潮)を永久化しているのだ。

この様に商品の仕入れで忙しいなか、H.N.セミョンは去年から店の空間を使って様々なアーティストの展示会を開いてきた。「インターベンション」と呼ばれるこの展示会シリーズは、若手日本人アーティスト、大黒貴之のスカルプチャーとドローイングの展覧会で始まった。彼のポプラ木と和紙のスカルプチャーは真っ白な空間に温かみを与え、それと同時に店の不気味さを引き出しているように思えた。

現在は、柱のように天井と床に設置された金属の輪の間に無数の白い糸が張られているドイツ人アーティスト、ドロテー・ベルケンヘーガーの作品がインストールされている。糸の間から見える棚の商品は白いレイヤーの間でますます遠ざかっていくように感じた。

『キオスク・ショップ・ベルリンは、ワーク・イン・プログレス。プロダクト・ラインを増やし、まだ空いている棚も埋めていきたい』と、H.N.セミョンは言う。これで3年目にはいるが、この先も時代を問いかけながら記憶していってほしいと思う。

キオスク・ショップ・ベルリン
住所:1 Schröderstr., 10115 Berlin-Mitte
TEL:+49 (0)30 784 1291
info@kioskshopberlin.de
http://www.kioskshopberlin.de

Text: Kristy Kagari Sakai
Translation: Naoko Fukushi
Photos: Kristy Kagari Sakai

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