バックジャンプス展

HAPPENING


都会的なコミュニケーションや、都会的な雰囲気が漂うアートが好きな人は、大勢いると思う。そしてそういったものが存在するのが、壁を愛する人もいれば、嫌いな人もいる、このベルリンの街。ライターやスプレーアーティストが溢れ、いたるところにステッカーやスローガンがひしめき合っている場所だ。そんなベルリンには「バックジャンプス」という雑誌がある。94年に、エイドリアン・ナビが創刊。今では、アーティストやパフォーマ−にとっては、世界中の情報を得ることができる一冊だ。そのバックジャンプスの展覧会「バックジャンプス—ザ・ライブ号」が現在、10月5日まで開催。なんと会場は、ギャラリーではなく、ストリート。ストリートアートを紹介するというコンセプトも、かなりしっかりしたものだ。

この展覧会には、アーティストを筆頭に、40名が参加。ストリートカルチャーの真の姿を垣間見ることができる内容だ。この展覧会の最も秀でた特徴は、すべてのものがリアルであるということ。この空間ためだけの作品があり、制作したアーティストとも実際に話をすることも可能だ。無名のアーティストがひょいっと外にほうり出され、作品を制作することで自分の名前を売る、という他にはない状況にちょっと驚いてしまうが、この展覧会はすべての人たちへのもの。違法なことも合法にしてしまうようなバックジャンプス – ザ・ライブ号は、異色の存在だ。

また、6週間に渡って、パネル展覧会、イベント、パフォーマンス、コンサート、そしてワークショップなどが、クロイツベルグ/ベタニエンというアートスペースだけではなく、ベルリン市内のストリートでも開催。「バックジャンプス—ザ・ライブ号」に関連したビデオ、フラッシュフィルム、インスタレーション、ビデオゲームなどが展示され、これらの作品からは、アーバン・アートの成長の記録を垣間見ることができるだろう。オープニングイベントでは、会場全体が国際的な雰囲気。広く作品が知られているスター的なアーティストや、これからが期待されるアーティストがマジックやスプレー缶を手に絵を描くというパフォーマンスも。すごく刺激的で、楽しいひとときだった。

その中でも特に僕が興奮したのは、僕が大好きなアーティスト、WKインタラクトに出会えたこと。彼にとっては、今回が2度目のベルリン訪問だとか。彼の作品、展覧会、そしてベルリンという街について、お話を伺うこともできた。かなり大手の企業での経験もあり、いまでは多くの日本のデザイン誌でも紹介されるようになったWKインタラクト。イラストレーターや映画業界でも働いていたことがあるという彼が魅せられたのは、モーション作品だった。そして現在の彼の作品では、いっときの瞬間や都会特有のテンションが見事にとらえられており、ダイナミックで、でもどこか冷たさもあるグラフィックデザインが展開されている。

16年前にフランスからニューヨークに移住。移民でもありグラフィティ・アーティストでもあることを常に胸の中で噛み締めながら制作した作品は、多くの人に受け入れられた。ストリートのインスピレーションが強く感じられる作品だからこそ、見た後では、ストリートに対する気持ちが大きく変化するだろう。また全体的に、スピリチュアルなレベルで制作されているのも、彼の作品の特徴。実に魅力的かつ、素晴らしい人物だ。WKインタラクトについての詳しい情報は、彼のオフィシャルサイトを参考のこと。

「バックジャンプス—ザ・ライブ号」展のサイトがないのが、唯一の残念な点。しかし、盛り沢山な情報とステッカーがついた、カタログスタイルのかっこいい冊子があるので、そちらをチェックしていただきたい。僕の友人でもあるアイケ・メニジンが、 ベルリンのストリートシーン についてまとめたサイトを作っているので、もしよければこちらもチェックを。

「バックジャンプス—ザ・ライブ号」展は、本当に興味深く見応えたっぷりの展覧会。大勢の人たちが、ひとつのことに夢中になるだけではなく、グラフィティこそ、ストリートにとっては、本当の意味でのホームなんだな、と感じることができる試みだ。

参加者:77(ベルリン)、エイケイ&アダムス(パリ)、アキム&ザスト・ワン(ベルリン)、アッシュ/BBC(コペンハーゲン)、バンスキー(ロンドン)、ボブス・ユア・アンクル(コペンハーゲン)、ケイクス(プラハ)、デルタINC(アムステルダム)、ブラッド・ダウニー&ダリアス・ジョーンズ(ニューヨーク)、イロジー(アイントホーフェン)、フリークス・ギャラリー(コペンハーゲン)、フスクミットナフン(コペンハーゲン)、ジェイ1/BBC(パリ)、ジェローエン・ジョンゲリーン(コペンハーゲン)、ロキス(パリ)、ロスト・アート(サン・パウロ)、マシーン(アムステルダム)、メイソンアンチ(ベルリン)、マウラー・ユナイテッド・アーキテクツ(アイントホーフェン)、マストリヒト−ノマド&ミス・リエル(ベルリン)、ナグ&パイク(ストックホルム)、オベイ(ロスアンジェルス)、オクロック(パリ)、PHOS4(ベルリン)、ピップス:ラブ(アムステルダム)、スキ/BBC(ニューヨーク、パリ)、ストレイト・アップ(コペンハーゲン)、スウォーン:トイショップ(ニューヨーク)、アーバン・アート・インフォ(ベルリン)、WKインタラクト(ニューヨーク)、ゼッズINC(レイデン)他。

BackJumps 展
会期:2003年8月23日〜10月5日
会場:Kunstraum Kreuzberg/Bethanien
住所:Mariannenplatz 2, 10997 Berlin, Germany
TEL:+49 (0) 30 25 88 41 55
bethanien@kunstamtkreuzberg.de

Text and Photos: Paul Snowden from Redesigndeutschland
Translation: Sachiko Kurashina

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