ウィリアム・クレイン展
Helmut Newton ‘Yellow Press’. Courtesy: Carla Sozzani Gallery
夏休みが待ちきれず、ついつい指折り数えてしまうこの季節。ミラノでは、著明なファッション・フォトグラファーとアーティストによる、興味深い展覧会が2つ開催されている。6月26日から7月27日まで、カーラ・ソッツァーニ・ギャラリーで開催されていたのは、ヘルムート・ニュートンの作品を集めた「イエロー・プレス」展。そして7月9日から9月28日まで開催されているのが、ウィリアム・クレインの「パリ+クレイン」展だ。
Helmut Newton, ‘Yellow Press’. Courtesy: Carla Sozzani Gallery
ヘルムート・ニュートンは、過去40年に渡って革新的なファッション写真を、映画的なイメージをテーマに撮り続けているファッション・フォトグラファー。性と惨劇、そして両義性と皮肉の混ぜ合わせたものが、彼のスタイルだ。ニュートンは長年に渡り、トュルー・クライムや、トュルー・ディテクティブといった雑誌のイメージを自身の作品で活用。暴力、性、そしてドラマは常に彼の作品を刺激し、普段はあまり目にすることのない、人々の内の部分を追求する力を彼に与えているのである。
William Klein, ‘Paris + Klein’. Courtesy: Archive Carla Sozzani Gallery
「パリ+クレイン」は、ウィリアム・クレインにとっても初の試みとなる写真プロジェクト。クレイン自身が生まれ育った街を写真におさめた作品だ。今回も、過去に撮影した作品同様、彼なりの「街に住む」という感覚を表現しており、彼独自の視点で写真は撮られている。今回展示されている作品は、すべて白黒写真で実に100点以上。彼にとっての重要な都市におけるライフスタイルを垣間見ることができる。そんな彼のスタイルは、世界中の多くの写真家に多大な影響を及ぼしただけではなく、現在でもなお、その影響力は偉大だ。この展覧会では、街を行き交う人々、ファッション界、警察官、政治家、スポーツ・パーソナリティーをとらえた作品がパズルのように組み合わされており、どの作品も、クレインの陰の部分だけではなく、時にはコミカルなスタイルも垣間見ることができる。
HELMUT NEWTON – YELLOW PRESS
会期:2003年6月26日〜7月27日
会場:Carla Sozzani Gallery
住所:Corso Como 10, Milano, Italy
WILLIAM KLEIN – PARIS + KLEIN
会期:2003年7月9日〜9月28日
会場:Spazio Oberdan
住所:Viale Vittorio Veneto 2, Milano, Italy
Text: Simone Biffi from Troopdesign
Photos: Labiennale
Translation: Sachiko Kurashina