ティム・バーバー写真展「I AM NOT ASKIN’ YOU TO SAY WORDS LIKE “YES” OR “NO”」

HAPPENINGText: Aya Takada

ふと、自分を取り囲む全てのもの、人々を抱きしめたくなる瞬間がある。散らかった部屋、夜のビーチ、昼間の公園、全ての背景が美しく、そんな時間を過ごす自分たちが美しくてたまらなくなる。TVスターやコミックヒーローなんかより、日々体当たりで生きている自分たちがたくましくて、愛らしくてしょうがない。ありのままの美を私的な感覚でとらえる青年が、最高の美を公開してくれた。


© Tim Barber

5月8日、ティンゼルタウン特設会場でティム・バーバーの写真展「I am not askin’ you to say words like “yes” or “no”」 のオープニングレセプションが開催された。ウェアハウスのような広々とした空間の中、数十作品もの大判写真が展示された。


© Tim Barber

ティム・バーバーは、ヴァイスやメイドマガジンなどのサブカルチャー雑誌で活躍する写真家である。日常生活に存在する全てが彼の被写体であり、彼は無造作にも存在する全ての美しさを記録する。「現在」という短い瞬間、空間にある美は果敢ない。バーバーの写真に記録されたその美は哀愁をそそる。感情をむき出しにする姿も静かに物語る姿も、その瞬間にしか存在しない仲間の姿だ。無造作な美を見つけてはシャッターを切るバーバーの切ない視線が彼の写真から感じられた。

スナップショット写真は、プライベートな時間や空間をキャプチャーする。かけがえのない日々を形にしようと、カメラを向け合う若者は多い。日々を写真におさめるこの行為は日常を大切に生きている証と言いたい。自分自身の生き方や仲間達の生き様に自信を持つ者の写真には、自ずと最高の美が映し出される。「現在」を記録するのは、現在を生きる自分たちを証明するためかもしれない。美しく生きる自分たちのためかもしれない。

Tim Barber “I am not askin’ you to say words like yes or no”
会期:2003年5月9日〜17日
会場:Tinseltown
住所:Keefer St., Vancouver
http://www.stilllive.com

Text: Aya Takada
Photos: Aya Takada

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