サンデーヴィジョン展

HAPPENING

日毎に外の世界ではその暖かさが増し、気持ちが何だか軽くなり、人々の顔にも自然に笑顔が浮かび上がる季節、5月。もしかしたらあなたもこんなことを、この絵を前にした時に思い巡らせたかもしれない。ここは札幌にある「ソーソーカフェ」。そのソーソーカフェで5月に行われていたのが「SUNDAY-VISION」の展覧会だ。「SUNDAY-VISION」は、昨年に展覧会を日本国内はもちろん、世界各地で開催。

グラフィックデザインからイラスト、映像、ウェブ、そしてウェアのデザインまで、彼のフィールドは実に幅広い。SUNDAY-VISIONとして活動する越尾氏はまた、日本国内外のアートブックにも多くの作品を提供。資生堂、パルコ、ラフォーレなど、多くのクライアントとのプロジェクトをこなす他、企画展にも参加している人物だ。それだけではなく「SwitchStance」名義で、オリジナルのファッションブランドの共同制作もしている。


ソーソーカフェでの彼の展覧会のオープニングイベントが開催されたのが、5月3日。東京で活躍する、越尾氏の友人でもありアーティストの古武家賢太郎氏をゲストアーティストとして迎え、この2人によるライブ・ペインティングが行われた。古武家氏は、パリでの個展開催の経験を持つ他、出版社「リトルモア」から「START」という作品集を発表している人物。最近では、「コム デ ギャルソン MANPINK」とのコラボレーションが話題を呼んだ。

オーディエンスの注目が集まる中、ライブ・ペインティングが開始されたのが午後10時過ぎ。私自身、ライブ・ペインティングは初めての経験だったのだが、すぐにその魅力に取りつかれてしまった。

「十人十色」という言葉の通り、2人のアプローチの仕方には大きな違いがあり、それはまるで、2人の世界が良い意味でぶつかり合っているよう。S極とN極が、お互いに強く引き合っているかのようなのだ。4×5メートルのキャンバスの左側から描きはじめたのは、越尾氏。まずはじめにキャンバスという大地に根を張り出したのは、木である。ユニークな方法でみるみるうちにその枝葉を広げていく木。注意深く見てみると、枝には「S」と「O」の文字が次々とスタンプで押されていき、最終的には「ソーソーカフェ」を示唆する「SOSOSOS…」の行列が現れた。また、矢印形のスタンプも随所に登場。キャンバスと越尾氏の距離はわずか10cm。始まりから終わりまで、最大限の集中力でライブ・ペインティングに挑んでいる姿勢をひしひしと感じることができた。また、彼のテイストが満載の葉の制作には、ステンシルを使用。線の一本一本まで実に丁寧に描いていく姿が印象的だった。また同様に、うさぎや鳥もステンシルで制作。動物達が作品に加わったことで、可愛らしさと美しさが増し、親しみ感のある「クールな」作品が生み出された。

極小のペンや定規を使用しながら、独自の世界をゆっくりと表現していた越尾氏とは対照的に、極太のペンで気持ちがいい程思うがままに線を走らせていたのが古武家氏。自由に、そして楽しそうに次々といろいろな形をアレンジ。あっと言う間に真っ白のキャンバスが彼の線で埋まっていく。「はやい!」と驚いた顔で古武家氏を見る越尾氏、という微笑ましい光景も見ることができた。

会場となったソーソーカフェは、まるでラウンジのような雰囲気。オーディエンスの中には、実際に床に座ってペインティングの様子を見守る姿も見受けられ、「スミノフ」というドリンクや軽食をお供に、誰もがリラックスしているようだった。今回もライティング・インスタレーションとDJを担当したのは、お馴染みの「ノードフォーム・クルー」。ぼんやりとしながらも、暖かみが感じられる照明の中にいると、この最先端のライブ・ペインティングを見続けること以外、何もしたくない!といった心地良い気持ちになっていく。また今回は、越尾氏と古武家氏の共通の有人でもある上村氏がゲストDJとして参加。ボンジュール・レコードのバイヤーでもある彼が、今回のイベントの為だけに選曲してくれたトラックを楽しむ事ができた。

今回のペインティングでは、シルバーと黒以外の色は使用されなかったため、作品は全体的にモノクロの世界。しかし、展覧会開催中にソーソーカフェで閲覧することができた、古武家氏の作品集を覗いてみると、ユニークでコミカル、そして楽しさ満点のキャラクター達で溢れていることに気付いた。どのキャラクターもカラフルに彩られており、そのキャラクターの性格や背後のストーリーなどが強く感じられる雰囲気。どれも実に個性的で、一目見ただけで、古武家氏の作品とわかるものばかりだ。ドットソーソーでの彼のパフォーマンスを見た後では、この力強い色たちが、彼のダイナミックな描き方と強く結びついていることがわかる。「現代的表現方法」という彼独自のユニークなスタイルが、この作品集の随所で見受けることができ、ページをめくる度に、思わず微笑んでしまう感じなのだ。登場するキャラクターのどれもが、まるで古武家氏の昔からの親友のように感じられるという点が、世代を越えて多くの人々に彼の作品が受け入れられている理由なのではないだろうか。はたして古武家氏の目からは、本当に世界がこのように見えているのだろうか?もしそうだとしたら、彼の人生は本当に楽しいものだろう。そしてもし彼が私を描くとしたら、どのような私が誕生するのだろう?考えただけでも、わくわくしてしまう。

今回のイベントで古武家氏は、人物を描くことはなかったが、ハートや奇妙な風景の中に目玉を描いたりするなど、やはりここでも一瞬で「古武家ワールド」とわかる演出を行ってくれた。頻繁に進め方を確認し合っていた越尾氏と古武家氏。完成まで費やした時間は約2時間半。満面の笑みと共に最後には「完成!」という彼らの声が会場に響き、オーディエンスからは、大きな拍手を受けていた。まったく違ったスタイルを持つアーティストがコラボレートし、このような調和のとれた素晴らしい作品を制作してくれたことに、私は心から感動することができた。もしかしたら双方のスタイルが違うからこそ、彼らのパフォーマンスから目が離せなかったのかもしれない。その後、越尾氏と古武家氏は、その他のゲストと談笑したり、オーディエンスからのサインに応えたりなどしながら、その夜を楽しんでいたようだった。そして今回、私がもっとも強く感じたのが、完成された作品を鑑賞するよりも、作品が完成されるまでの様子を見守る楽しさだ。今回制作された作品は、5月いっぱいまでソーソーカフェで展示されていたが、完成されてもなお、見応えのあるものであった。

展覧会では越尾氏デザインによる漆塗りのスケートボードも展示。彼独特の木の葉が金色であしらわれており、ピュアな美しさを演出している。またその他にも、本展覧会では彼の幅広い可能性を感じる事ができた。展示作品の中でも私のお気に入りは「シンバルとにんじん」という作品。

モノクロで描かれておりながらも、美しい世界が広がっている作品だ。その他の作品はどれもカラフルなものばかり。どの作品からも、丁寧に制作された様子がひしひしと感じられる作品だ。

4×5メートルの巨大な壁一面に展示されていたグラフィック作品は、迫力満点で本当に色鮮やかで美しかった。

次回ソーソーカフェで行われるイベントに期待が高まるのは、私だけだろうか。その際は是非、あなたも目撃者のひとりであってほしい。

DOT SOSO#15 FEAT. SUNDAY-VISION vs KOBUKE
日時:2003年5月3日(土)
チケット:前売り1,500円 (1ドリンク付き) 当日2,000円 (1ドリンク付き)
ライブドローイング:SUNDAY-VISION + KOBUKE
DJs:ノードフォーム・クルー
ゲストDJ: Uemura (ボンジュール・レコーズ)
協賛: キヤノン株式会社スミノフ
会場:SOSO CAFE(ソーソー・カフェ)
住所:札幌市中央区南1西13三誠ビル1F
http://www.shift.jp.org/soso/

Sunday-Vision
info@sunday-vision.com
http://sunday-vision.com

Text and Photos: Michiko Ikeda
Translation: Sachiko Kurashina

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