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セミ・パーマネント 2003

HAPPENINGText: Nicola Stumpo

昨年、僕はバルセロナで開催されたOFFFというイベントに招待された。そこでは沢山の人達と出会い、とても良い思い出を作ることができた。その中でも特に印象深いのが、休憩時間に、マット・オーエンスデザイン・イズ・キンキー(以下、DIK)のアンドリューとムレイ、そして 123KLANのメンバーとビーチへ散歩に出かけたことだ。すごく楽しいね、来て良かったね、などとお互いに確認し合い、今思い出してもそれは楽しかった時間の一コマだ。

しかしまさにその時こそ、アンドリューとムレイが大規模なイベントの開催を決意した瞬間だった。『もし現実にできたら、必ず君たちを招待するからね』と言った彼ら。どこでやるの?という僕の質問には『もちろん、僕らが住んでる街、シドニーだよ』との答が返って来た。シドニーと聞いただけで、もう僕の心は激しく踊っていたのを、今でも僕は克明に覚えている。そのビーチでの会話から1年後。僕はガールフレンドと共に、シドニー行きの機上の人となっていた。1年間もこのイベントの開催を首を長くして待っていたこと自体に自分でも驚きつつも、33時間後、SARS予防のマスクをした人に溢れ、外は暴風が吹き荒れるシドニーの土を、僕はついに踏み締めたのである。

この長旅そのものが、僕の理解力を弱らせる程過酷だったため、時差ボケに苦しめられることはなかったのだが、ホテルに着いた途端、やはり吸い込まれるようにベッドに向かい、長い睡眠をとった。ムレイからウェルカム・コールをもらった翌朝、僕は彼と一緒に展覧会会場を視察。今回のセミ・パーマネントでは、実行委員であるDIKは、2つのメイン・イベントを企画。ひとつは、美しいダーリング湾にあるシドニー・コンベンション・センターで、このカンファレンスを開催すること。そしてもうひとつは、ストリート・アート展という展覧会の開催だ。

この展覧会には、シェパード・フェイレイバンクシー、パークス&ミミ、シェーン&クロール、Dモート、そしてバーンクリューといったアーティストが参加。会場には、街の中心部から少し離れた場所にあるビルの2階が用意されていた。バンクシーは、ステンシルを使用した作品を発表。一方シェパードは、自身のポスターをわざとびりびりに破き、作品を演出。いろいろなものを、壁にぺたぺたと貼りつけていたのは、123KLAN。そういった作業風景を目の前で見ることができたのは、僕にとってもすごく刺激的な出来事であった。どのように彼らは作品を作り上げるのか。それぞれの技術が交わることで、1本の線がポスターとなり、ステンシルになっていく。これはもう「美しい」の一言でしか言い表せない光景であった。今回のこのカンファレンスに参加すると、入場した際にアーティストに関するTシャツや本、グッズなどが入ったパッケージが配付されていたのだが、そのパッケージの用意を手伝ったり、彼らの作品準備を見守ったりしながら、その日は気付いたら夜になっていた。

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