ホームシック・マガジン
THINGSText: Aya Takada
日に日に低くなる空を眺めては、今日は何人もの人がこの街を去り、またこの街に戻ってきたのかなと思う。一歩外に足を踏み出した瞬間から、「故郷」を愛らしく思うなんて、勝手かも知れない。けれど、自分が育った街が恋しくなるのは感謝に満ちたホームへの愛の表れだと思う。
「エブリワン・ゲッツ・ホームシック(誰もがホームシックになる)」と言い切る、ホームシック・マガジンはカナダで育ち、そしてそのカナダを一時離れ、異国での活動経験を積んだアーティストを紹介している。
Cover Sculpture by Human Five
第一号は、バンクーバー。ヒューマン・ファイブ、ドリス・チャン、アトマス、エイミー・ロックハート、クリス・ジェーグリー、ミア・トムセットのアートワークが本誌で取り上げられ、付録のCDではトム・スバブのフォトベース・デジタルフィルム、マーク・ベルク、チャッド・ハウザーによるホームシック・サウンドトラック、エイミー・ロックハートのプロフィールビデオが収められている。
Artwork by Mia Thomsett
わたしたちは日常生活の中で雑誌を手にする機会が多い。そこで編集者のジェニファー・ニコルズは身近でフレンドリーなマガジンをギャラリースペース化することにより、アートがより私達にとってアクセスしやすくなるのではと、このマガジン制作に取り組んでいる。この次はトロント、モントリオール、ウィニペグ、ハリファックス、レジャイナ、エドモントン、そしてナンヴィットとホームシック探しは続く。
Artwork by Amy Lockhart
背表紙をオンタリオ州出身のジェイソン・マックリーンが手掛けており、全ての号が揃えば…なんていうお楽しみつきだ。
経験と成功を求めての独り立ち。そこで築き上げたものは「今までの自分」と「これからの自分」。沢山のことを吸収し、作り上げられていく自分自身をしっかりと支えてくれているのは、いつも「ホーム」である限り、わたしたちは「ホームシック」を味わい続けるのかもしれない。
Text: Aya Takada
Photos: Courtesy of Homesick Magazine © the artists