DAS WUNDER VON BERLIN

HAPPENING


© Roarr.org 2002


もっとグラフィックデザインのようなものになれるのではないか、というデザインがあることを私は知っているし、またデザインをある意味、意見として、そして理解として捉えている部分も私の中にはある。ここベルリンで「私達の身の回りにあるもの」に注目したいと思うのは、このような理由があるからだ。このエキサイティングな街の一部であろう、身の回りにあるもの、である。

ベルリンの壁が崩壊して10年が経過した。しかし街はいまだにそのアイデンティティを模索しているようにも思えるし、以前よりも更にチープでイージーな感が高まっているようだ。ここはアイデンティを探し求める人々が集まるホーム的な街。そして街自体が、そうすることの許可を出しているかのようでもあるし、多くの人が自由と、新しいイメージを探し続けている本拠地なのである。

ベルリンの過去を打ち砕いてきたこと、そして敏感さ、死、悪、醜さを受け入れてしまったことを、街自体が何だか組織的に整然と見ないようにしているように思える。しかしその中でも良いデザインとうものは、たとえ最終的なコンテンツがそれほどのものではなくても、結構売れてしまうものなのである。

私が最近目にした中で一番かっこいいな、と思ったのは「DAS WUNDER VON BERLIN」というオープンエアーのインスタレーションである。これはオランダ人アーティスト、イエプ・ルビンによるもの。 「HACKESCHER MARKT」という地下鉄駅前にある大きな木がそれである。実際には灰で作られた巨木なのだが、不定期的に枝の下で激しい雨が降る。温かさも感じつつも、びしょぬれになってしまう作品だ。見物人にとってそれを見ることは、何だかパズルのよう。雨から私達を守るのが木の役割のはずなのに、と考えてしまうと「木」という自然のオブジェがこの猛暑が続く昼でも夜でもそこにあるのは、すごく奇妙な感じがする。しかし面白いのは確かだ。


© Ralf Grmminger 2002

インスタレーションのオープニングスピーチは、ドイツのサイトで見つけることができる。またそのスピーチは、アーティスト、化学者、司教、俳優というまったく違う4つのエリアから寄せられたものだ。
私がその作品の責任者です、とは誰も認めないし、責任者が誰かも知らず、はたまたそのようなことは誰も気に留めてはいない。ただシンプルに不思議なものとしてそれを解き放っているだけ。しかし面白いのは、この雨をもたらす作品のスポンサー自体がこの作品を喜んでおり、天気予報も地元のテレコミュニケーション会社の提供により放送されていることだ。奇跡は本当に起こるし、不思議な出来事も不思議に思われるからこそあり、ここベルリンは、まさにそのような現象には十分は街なのである。一度崩壊してしまった街は、とてもエキサイティングで刺激的。私には終わりなんて見えない。そこにあるのはチャンスだけなのだ。

Das Wunder Von Berlin (the berlin miracle)
Open-air installation by Iepe Rubingh
会期:2002年8月17日〜9月30日
会場:Subway station S-Hackescher Markt, Berlin
http://www.wunder.iepe.net/observe.html

Text: Paul Snowden
Translation: Sachiko Kurashina

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